欧州サッカー日本人最新市場価格。この1年で評価を変えたベスト&ワースト3 (4ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Sano Miki

2位 武藤嘉紀(ニューカッスル)
市場価格250万ユーロ(約3億2750万円)
下降額300万ユーロ(約3億9300万円)

 武藤嘉紀は、大きな期待を背負ってブンデスリーガのマインツからプレミアリーグのニューカッスルへと移籍した。ところが、この元FC東京のストライカーは、プレミアリーグで苦しみ、定位置を確保できなかった。

 プレースタイルが異なるスペインのラ・リーガへのレンタル移籍によって、復調が期待されていた。ところが、エイバルはシーズンを通して残留争いに飲み込まれてしまい、最終的に最下位で降格。

 移籍した武藤は、望みどおりに出場時間を与えられた。ところが、時間が経つにつれて、FWとして不可欠なゴール前での決定力に欠けていることが露呈する。結局、パートナーを組んでいた主将のキケ・ガルシアが、12得点でチームのトップスコアラーとして牽引する姿の陰に隠れてしまった。

 エイバルで試みた武藤のアプローチは良かったものの、不調を引きずるチーム全体を上向かせるには不十分だった。ニューカッスルに戻ったとしても、武藤の居場所には疑問符がつけられる。カラム・ウィルソンと24歳のジョエリントンの2人が、センターフォワードのポジションを確保しているからだ。

 現在の状況でニューカッスルが考えるとすれば、今夏のうちに武藤を売却し、できるだけ多くの移籍金を得ることだろう。

3位 大迫勇也(ブレーメン)
市場価格100万ユーロ(約1億3100万円)
下降額250万ユーロ(約3億2750万円)

 日本代表では押しも押されもせぬ存在感を発揮する大迫勇也だが、ブンデスリーガではその価値を示すのに苦しんでいる。この31歳のアタッカーは、十分なクオリティを備えているが、昨季のブレーメンでその能力を示すことができなかった。

 シーズンを通して無得点、1アシストでは物足りない。たとえ2列目での起用だとしても、アタッカーとして評価を上げるのは難しい。

 ブレーメンが2部に降格した責任は、当然ながら大迫だけにあるわけではない。だが、昨季も時折見せたような輝くプレーは、来季の2部で見られそうにない。ブレーメンとの契約は2021-22シーズンまでだが、クラブが大迫を放出したがっているのは、すでに公然のこととなっている。

 大迫がポジションを確保する日本代表とは違い、ブレーメンでは大迫を中心にチームが動くわけではない。そして、それは他のクラブでも同じだ。ブレーメンが希望どおりの移籍金を支払う放出先を見つけるのは、難しい仕事となるだろう。

<トランスファーマルクトが発表している日本人選手の市場価格(上位10人)>

1位/鎌田大地(フランクフルト)/2500万ユーロ 
2位/冨安健洋(ボローニャ)/2000万ユーロ 
3位/久保建英(レアル・マドリード)/1500万ユーロ 
4位/南野拓実(リバプール)/1200万ユーロ 
5位/遠藤航(シュツットガルト)/1000万ユーロ 
6位/伊東純也(ゲンク)/800万ユーロ 
7位/堂安律(PSV)700万ユーロ 
8位/酒井宏樹(浦和)/400万ユーロ 
9位/中島翔哉(ポルト)/350万ユーロ 
9位/鈴木優磨(シント・トロイデン)/350万ユーロ 
9位/板倉滉(マンチェスター・シティ)/350万ユーロ 

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