ユーロで3バックシステムが流行。森保ジャパンの参考になるのはどれか? (3ページ目)
とくに、もともと4バックを基本布陣としていたオランダは、フィルジル・ファン・ダイクの不在によって、守備重視のオプション戦術だった3バックを今大会の基本布陣とした経緯もある。その点で、3バックの完成度はそれほど高くなかったと言える。
一方、興味深い例が、柔軟性を兼ね備えた応用型3バックに分類される、オーストリア、スイス、デンマークの3チームだ。
北マケドニア戦とオランダ戦で3バックを採用したオーストリアは、来季からレアル・マドリードでプレーするダビド・アラバを3バックの中央に配置。通常はアラバを左SBか左MFに配置した4-4-2を採用するが、フランコ・フォーダ監督は、3バックの相手に対して3バックで対抗する戦術を用いた。
逆に、相手が4バックを採用したグループ最終戦のウクライナ戦と、ラウンド16のイタリア戦では、4バックを採用している。要するに、相手の布陣によって自らの布陣を柔軟に変化させるのが、今大会のオーストリアだった。
ラウンド16でフランスを破ったスイスでは、リカルド・ロドリゲスがキーマンだった。
グループ初戦のウェールズ戦、2戦目のイタリア戦では、ロドリゲスが3-4-1-2の左WBでプレー。ところが、3戦目のトルコ戦では3バックの左にロドリゲスを配置したことにより、守備的な3バックから攻撃的な3バックへと変貌を遂げている(フランス戦も同様)。
特徴は、マイボール時にロドリゲスが左サイドの高いポジションをとり、左WBのスティーブン・ツバーと絡みながら攻撃を仕掛ける点にある。その際、最終ラインは残り2人のDFがスライドするか、もしくはMFのグラニト・ジャカが、ロドリゲスが空けたスペースをカバー。3バックの一角が前に出てくるので、相手にとってはやっかいだ。
デンマークの場合は、もっとも応用力が高い。クリスティアン・エリクセンにトラブルが発生した初戦のフィンランド戦では通常の4バックだったが、2戦目のベルギー戦と3戦目のロシア戦では相手に合わせて3バックを採用。右WBのダニエル・ヴァスが高い位置をとり、左WBのヨアキム・メーレが下がって"つるべ式"の4バックに可変させて、5バックになりにくい3バックを形成し、攻撃性を保つことに成功している。
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