スペインがまさかのユーロ敗退危機。なぜルイス・エンリケ監督に批判が集中しているのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

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「モラタを使うくらいなら、リーガでスペイン人最多得点のジェラール・モレノ(ビジャレアル)を使え!」

 ただ、ここにも憎しみがくすぶる。レアル・マドリード出身のモラタだが、その後マドリードに背を向け、恨み節を口にしており、ファンから好意的には捉えられていない。ルイス・エンリケを攻撃するには好材料だった。

 ポーランド戦でルイス・エンリケはモラタをトップに、右にモレノを起用した。モレノのアシストでモラタが見事にゴールを決め、先制点をゲット。しかしリードを守り切れずに同点を許すと、ルイス・エンリケはモラタを下げて中盤の選手を入れ、攻撃は停滞した。

「監督は勝つ気はあるのか、弟子も見放したぞ」

 世論を味方にしたメディアの批判は、手を替え品を替え、続いている。孤立無援のルイス・エンリケは勝ち筋を見つけるしかない。

 スペインはボールを持ってはいるものの、ゴールの匂いが弱い。一方、カウンターから失点する気配は濃厚に漂う。うまいが、すごみがない。サッカーはパスの本数で勝負するわけではなく、その歪みを修正する必要があるだろう。

 6月23日のスロバキア戦では、コロナ陽性からチームに戻ったセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)が復帰濃厚と言われる。これで攻撃のテンポは上がり、守備のリスクを減らすことができるか。個人的には、ミケル・オジャルサバル(レアル・ソシエダ)の0トップとし、ペドリ(バルセロナ)は才気煥発だが、チアゴ・アルカンタラ(リバプール)を先発で起用。切り札にはアダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)を投入するという手があると思うが......。

 敗れた場合、スペインは大会を去ることになる。引き分けた場合、3位でも得失点差で勝ち上がれる可能性はあるが、ポーランドがスウェーデンに勝った場合は最下位に転落し、敗退が決まる。ルイス・エンリケは必勝の態勢で臨むしかない。

「我々は代表監督と代表選手を信じるべきだ」

 かつてスペインを欧州、世界王者に導いたビセンテ・デルボスケ元監督の言葉は重みがある。

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