2021.06.25

ユーロ16強入りもフランス、ドイツに難あり。ポルトガルは前回優勝時に似た匂い

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 ユーロ2020。日本が参加していない欧州域内の戦いながら、面白い。なにより接戦だ。出場24チームを16チームに絞るグループリーグは、32チームを16チームに絞るW杯よりスリルがある。高次元でレベルが拮抗している。

 俗に「死の組」と言われたフランス、ドイツ、ポルトガル、ハンガリーが戦ったグループリーグF組はそれを象徴する。現地時間6月23日の20時にキックオフされた最終戦の2試合(ポルトガル2-2フランス。ドイツ2-2ハンガリー)は、タイムアップの笛が鳴る最後の瞬間まで、目が離せない展開になった。

フランス戦ではPK2本を決めてポルトガルの決勝トーナメント進出を決めたクリスティアーノ・ロナウドフランス戦ではPK2本を決めてポルトガルの決勝トーナメント進出を決めたクリスティアーノ・ロナウド この記事に関連する写真を見る  1位フランス(勝ち点5)、2位ドイツ(勝ち点4)、3位ポルトガル(勝ち点4)の3チームがベスト16に進出することになった(ドイツとポルトガルの順位差は、直接対決の結果によるもの)が、ハンガリーの奮闘も見逃せなかった。最終戦のドイツ戦では常に先手を取り、ドイツを慌てさせた。

 その前の試合のフランス戦(1-1)でも、ハンガリーは先制点を奪い、フランスを慌てさせている。フランス、ドイツ側がハンガリーの善戦を誘発させた面もある。フランスは2018年ロシアW杯の覇者で、ドイツは2014年ブラジルW杯の覇者。今大会でもフランスは本命に、ドイツは2番手グループに推されている。だが、それぞれのサッカーの中身は、下馬評に準じたものは言えなかった。

 フランスの最大のセールスポイントは、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)、アントワーヌ・グリーズマン(バルセロナ)が並ぶ前線になるが、そこにボールが至るプロセスが一本調子だ。3人とそれ以外とに分かれたサッカーになっている。直線的というか、コンビネーションが働いていないというか、とにかく単純だ。細工が利いていない。中でもスピード抜群のエムバペの、その走力に頼るサッカーになりがちだ。

 3戦目のポルトガル戦も、スコアは2-2だったが、あえて判定で勝負をつければ、ポルトガルに軍配は挙がった。それでも引き分け、なんとかグループリーグを首位通過する姿に底力を見る気はしたが、優勝まで残り4試合の道のりを、このやり方で貫き通せるとは思えない。現状から何かが変わらないと優勝は難しそうな気がする。