ユーロ2020随一。中盤トリオがイタリアの「ファンタジー」を復活させた (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 選手選考においても、過去の実績にとらわれることなく、可能性を感じさせる選手を幅広く招集。チーム内の競争力をアップさせた結果、優秀なタレントたちがその期待に応え、代表チームにおいても目を見張る成長を遂げたのである。

 その現在のアッズーリの中核となっているのが、中盤トリオだ。

 アンカーポジションで全体をコントロールするのは、チェルシーのチャンピオンズリーグ優勝の原動力となったジョルジーニョ。そしてその両脇で攻守のつなぎ役を果たすのが、すでに40キャップを数えるパリ・サンジェルマンのマルコ・ヴェラッティと、スクデットを獲得したインテルで不可欠な戦力へと飛躍したニコロ・バレッラだ。

 彼ら3人が見せるクリエイティブかつインテンシティの高い中盤の構成力は、出場24カ国中でも屈指のレベル。マンチーニ監督が就任して以来、あっという間にボール支配率が高まった最大の要因は、彼ら3人のクオリティにあると言っても過言ではないだろう。低迷期のアッズーリに失われていたファンタジーが、ようやく復活した印象だ。

 そのほかにも、サッスオーロで急成長を遂げたマヌエル・ロカテッリ、ユーティリティ性の高いローマのロレンツォ・ペッレグリーニ、あるいはアタランタのマッテオ・ペッシーナも控える。とくにジョルジーニョやヴェラッティが不在の時、ロカテッリが遜色ないパフォーマンスを見せるようになった点が大きい。

 一方、中盤でしっかり保持したボールをフィニッシュする3トップの戦力も、なかなかの充実ぶりだ。

 1トップは国内最高のゴールマシンでもあるベテランのチーロ・インモービレ(ラツィオ)。左サイドは崩しのドリブルと決定力を兼ね備えたロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)、右は一躍レギュラーに躍り出たドメニコ・ベラルディ(サッスオーロ)。トリノのアンドレア・ベロッティ、ユベントスのフェデリコ・キエーザも虎視眈々とスタメンを狙っている。

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