2021.01.17

グアルディオラ戦術の重要人物。ジョアン・カンセロのマルチぶりがすごい

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカースターの技術・戦術解剖
第41回 ジョアン・カンセロ

<偽9番+偽SB>

 マンチェスター・シティ(イングランド)が強さを取り戻している。今季はセンターフォワード(CF)不在がつづいていた。ジョゼップ・グアルディオラ監督(スペイン)は、かつてバルセロナ(スペイン)指揮時に有名になったゼロトップを採用している。

マンチェスター・シティのSBとして活躍するジョアン・カンセロマンチェスター・シティのSBとして活躍するジョアン・カンセロ 「偽9番」はケビン・デ・ブライネ(ベルギー)、ベルナルド・シウバ(ポルトガル)、ラヒーム・スターリング(イングランド)が起用されて一定ではないが、ゼロトップのコンセプトは変わりない。

 両サイドの高い位置に選手を開かせて相手ディフェンスラインを固定、偽9番のCFが引くことでライン手前の数的優位を確保する。最近のシティは縦への推進力を意識したプレーぶりだったが、徹底的なポゼッションという原点に立ち返ったようだ。

 ただ、「偽9番」よりポゼッションに貢献しているのは、「偽サイドバック(SB)」である。

 こちらもグアルディオラ監督の定番の一つだが、現在のシティではジョアン・カンセロ(ポルトガル)がその役割を果たしている。

 シティの基本フォーメーションは4-3-3だが、ビルドアップでは3バックに変化する。センターバックの右側が右SB化し、右SBのカンセロが中盤のハーフスペース(サイドと中央の中間)へ上がるのだ。

 これでシティの中盤は4人に増員され、さらにCFが引くことで5人体制ができあがる。両サイドが幅をとり、その内側に5人。これだけ人数を揃えたシティから、相手がボールを奪うのは容易ではない。

 徹底的にパスを回したうえで、CFの位置にはいろいろな選手が入ってくる。ここは常駐ではなく、スペシャリストもいない。執拗にパスをつなぎながらペナルティーエリアへ進入する、ミニゲームのようなアプローチだ。