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グアルディオラ戦術の重要人物。ジョアン・カンセロのマルチぶりがすごい (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本来のCFであるセルヒオ・アグエロ(アルゼンチン/濃厚接触者となり隔離)や、ガブリエル・ジェズス(ブラジル/検査で陽性)を使えないがゆえの苦肉の策なのだが、このほうがグアルディオラのチームらしい気もする。

<SBはマルチロール>

 近年、その役割が大きく変わったポジションが、GKとSBだ。

 シティのGKエデルソン(ブラジル)が典型だが、ビルドアップに加わるプレーが必須になった。ショートパスで連係し、ときにはロングパスで一気に局面を変える。GKとしての守備力のほかに、組み立ての攻撃力が問われるようになった。

 そして、SBはもはや「バック」ではない。最初の変化はウイングとの兼任だった。タッチラインに沿って攻め上がり、クロスボールを送るのはSBのメインタクスになっていった。現在はさらにプレーメーカーの役割をすることも多い。プレーエリアもタッチライン際に限らず、中央でもプレーする。

 マルチプレーヤーになったSBの代表格がダニエウ・アウベス(ブラジル)だ。DFとしての守備だけでなく、中盤でパスワークの中心となり、そこからさらに前進してラストパス、シュートといった攻撃的MFの役割も果たす。グアルディオラ監督下のバルセロナで、ダニエウ・アウベスはSB、MF、FWとして起用され、もちろん「偽SB」でもあった。

 グアルディオラはバイエルン(ドイツ)でダビド・アラバ(オーストリア)を「偽SB」として活用し、最終的には左のアラバだけでなく、右のヨシュア・キミッヒ(ドイツ)も「偽」にしてしまった。シティでは今のところカンセロだけが「偽」だが、そのうち左右両方ともMF化させるのかもしれない。ただ、相手のカウンター対策でDFラインに3枚は必要と考えるなら、カンセロだけがポジションの越境者になる。

<能力を拡大するカンセロ>

 カンセロはベンフィカ(ポルトガル)でデビュー、バレンシア(スペイン)とインテル(イタリア)でのプレーを経て、2018-19シーズンにユベントス(イタリア)へ移籍。セリエAではSBのベストプレーヤーという評価を得た。

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