香川真司はどこへ行く? 新天地を決めるための2つのポイント (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ところが、熱心にオファーしたサバデル(スペイン2部)を筆頭に、PAOK(ギリシャ1部)、デュッセルドルフ、ハンブルガーSV(ともにドイツ2部)、ブレッシャ(イタリア2部)など、興味を示したクラブはあったが、高額なサラリーなどがネックとなり、いずれも香川本人が望むかたちの契約には至らなかった。

 これだけ具体的なクラブ名が挙がったあたりは香川のヨーロッパにおける実績とネームバリューの証といえるが、さすがに本人も移籍がこれほど難航するとは考えていなかったのではないだろうか。

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 こうなると、ファンが懸念してしまうのは、今年8月16日に行なわれた昇格プレーオフ準決勝第2戦以来、4カ月以上にわたって香川が実戦から遠ざかっているという点だろう。しかし、これについては本人はそれほど焦りを感じていないと思われる。なぜなら日本代表のチームメイトがいいサンプルになってくれているからだ。

 たとえば今夏、マルセイユ(フランス)に加入した長友佑都だ。

 前所属のガラタサライ(トルコ)で、外国人枠の関係もあって実質的に構想外となった長友は、2019年12月28日のアンタルヤスポル戦を最後に実戦から遠ざかることとなった。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの最中も自主トレーニングに励み、今夏の移籍を勝ち取ることに成功。新シーズン開幕後の9月20日にはリーグアン戦デビューを果たし、約9カ月もの空白期間を乗り越えている。

 また、現在ストラスブールでゴールマウスを守る川島永嗣も、2015年5月にスタンダール・リエージュ(ベルギー)を退団した後、半年以上の浪人期間を経てダンディー・ユナイテッド(スコットランド)と契約合意。さらに翌2016年夏にはメス(フランス)に移籍し、第3GKの立場から最終的に正GKの座を勝ち取った。2018年夏に加入したストラスブールでも、第3GKから這い上がることに成功している。

 身近なところに同じような経験をした仲間がいることは、無所属状態が続く香川の不安を取り除くには十分な要素といえる。焦って誤った選択をしてしまうよりは、じっくりと冬の移籍期間を待ってから新天地を選ぶことを選択したのも頷ける。

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