南野拓実のMF起用にメディア高評価。新ポジションで風向きが変わった (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 攻→守、守→攻の切り替えも素早く行ない、南野のボール奪取からチャンスを迎えたのは少なくとも4回。4日前に行なわれたチャンピオンズリーグ第6節のミッティラン戦で、南野が今季チーム最多となる37回のプレスをかけたことが話題になったが、この日もピッチを幅広く動いてチームを支えた。

 そして、チャンスと見れば、バイタルエリア付近に顔を出した。最大のチャンスは後半16分。ペナルティエリア手前の位置で激しく寄せてボールを奪い、ヘンダーソンの決定的なチャンスにつなげた。

 ヘンダーソンのシュートはGKにブロックされたが、その彼からリターンパスが入っていれば、ゴール前につめていた南野がネットを揺らしていたかもしれない。一連の動きには、南野の持ち味がよく出ていた。

 南野がインサイドハーフで初めて先発したブライトン戦(11月28日)では、クラブOBのスティーブ・マクマナマンに「中盤の深い位置にとどまらず、もっと前線に出ていくべき」と厳しい意見をぶつけられた。だが、この日は仕掛けの意識も高く、DFラインの背後に抜けるフリーランでラストパスを呼び込もうとした。動き出しに合わせて味方からパスが入らないのは今後の課題になるが、積極的なトライは見せた。

 リバプールは後半から少しずつプレーテンポがよくなり、PKから同点ゴールを奪取。このまま1−1で引き分けた。南野は勝負を決める絶対的な活躍ができたわけではなかったが、少なくとも悪い流れを断ち切るきっかけはつくった。

 実際、地元紙リバプール・エコーは「中盤に入って堅実なプレーをし、エネルギーとチームに強く必要とされていた創造性をもたらした」とし、南野にチーム2位タイとなる7点をつけた。

 振り返ると、ここまで25歳のアタッカーは極めて厳しい状況に置かれていた。ベンチスタートで出番のないまま終了のホイッスルを聞いたり、あるいはベンチ外の試合も経験した。久しぶりに先発したCL第2節のミッティラン戦(10月27日)や、プレミアリーグ第11節のブライトン戦では低調なプレーに終わり、英メディアから厳しい意見が上がった。

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