南野拓実のMF起用にメディア高評価。新ポジションで風向きが変わった
「興味深い采配だ」
ユルゲン・クロップ監督が後半開始時から南野拓実の投入を決めると、1978〜1984年までリバプールでプレーしたOBのグレアム・スーネス氏は、こう思わずつぶやいた。
インサイドハーフで効果を発揮した南野拓実 12月13日に行なわれたプレミアリーグのフラム対リバプール戦で、CBとして先発したジョエル・マティプが前半途中に背中を痛めた。23歳CBのナサニエル・フィリップスを代わりに投入するのが自然な流れだったが、ドイツ人指揮官はベンチスタートの南野に声をかけた。
MFのジョーダン・ヘンダーソンをCBにスライドさせ、空いた中盤のポジションに日本代表を起用したのである。
南野のポジションは、4−3−3のインサイドMF。これまでセンターフォワードや両翼で使われることが多かったが、出番のあった直近2試合は、いずれもインサイドハーフで起用されている。そして、結論から先に言えば、この日の南野の中盤起用は効果的だった。
前半のリバプールは苦戦を強いられ、0−1でハーフタイムを迎えた。連戦による疲労の影響か、試合中にクロップ監督が「起きろ! 目を覚ませ!」とテクニカルエリアから大声で激を飛ばすほど、チーム全体の動きは悪く、フラムにチャンスを何度も許した。
攻撃も出足が鈍く、70%近いボール保持率を記録しながら、枠内シュートはわずか1本。ハーフタイムにアクションを起こさなければならない状況にあった。
劣勢を強いられた要因のひとつが、フラムのアプローチだった。「相手の出来が非常によかった。ダイレクトボールを多用し、デュエルも多かった」とクロップ監督が振り返っていたように、今季からプレミアに昇格したフラムの力強いプレーに押し込まれた。
そこで、クロップ監督は南野の投入を決めた。後半の打開策として、運動量豊富で強度の高い守備ができる日本代表を中盤に入れた。
南野のプレーで、まず目についたのはディフェンスだった。1対1の局面では身体を強く入れてボール奪取を試み、敵のカウンター時にはマーカーを執拗に追いかけた。
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