レアルは崖っぷち。先が見えないPSG。CL最終節で何かが起こる? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 とはいえ、ポルトガルのリスボンで行なわれた昨季の決勝を振り返れば、スコアこそ1-0ながら、バイエルンとの差は歴然としていた。6分4分というより、7分3分だった。
 
 その差が詰まっていそうならば、あるいはPSGのサッカーがさらによくなっているのなら、PSGを本命に推したくなるが、グループリーグの戦いは残念ながら、こちらの期待をかき立たせる内容ではなかった。

 3-1で勝利した第5節のマンU戦にしても、不満が残る戦いだった。1-1で迎えた後半24分の勝ち越し点は、かなりオフサイド臭かったし、その直後、後半25分に主審がマンUのMFフレッジに出した2枚目のイエローカードも、PSGにとってはラッキーなジャッジだった。

 それまで応援したくなるサッカーを展開していたのはマンU。試合を優勢に進めていたのも、いいサッカーをしていたのもマンUだった。

 PSGに何より欠けていたのはゲームをコントロールする力だ。選手の顔ぶれでは上回るはずなのに、その優位性をピッチに反映できずにいた。1回攻めたら1回守るという感じで、ペースが長続きしないのだ。

 ネイマールのフィーリングに頼るサッカー。PSGのサッカーをひと言でいえばそうなるのだが、その個人技が全体の中で活かされているとは言い難いのだ。周囲はネイマールとコンビネーションが図れずにいる。よくも悪くも何をするのかわらないその奔走なプレーは、味方をもしばしば欺く様子。パーツになることができていないので、プレーが流れないのだ。ネイマールにボールが渡ると、PSGの攻撃はそこでいったん、仕切り直しになるのだった。

 リオネル・メッシ、ルイス・スアレスと3トップを形成したバルサ時代のように、ポジションにこだわりながら殊勝にプレーしたその姿を、もはや拝むことはできない。お山の大将と化している。往年のメッシやクリスティアーノ・ロナウドの域(=バロンドール級)に達しているわけではないのに、だ。

 もうひとりの主力、キリアン・エムバペも突破力、破壊力はあるが、いかんせん単発的だ。そのアクションがチームプレーの中に組み込まれているわけではないので、活躍は個人能力が炸裂した瞬間に限られる。

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