柴崎岳に必要なのは高級なプレーではない。評価向上に何をすべき? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 その結果、これまで多くの監督に才能を評価されながらも、ボランチでの起用機会が減っていって、トップ下、サイドなどで試された後、やがてセカンドオプションとなる傾向がある。

「岳は格別な選手。サッカー選手として、オールマイティーな能力を持っている」

 デポルの監督を務めたフェルナンド・バスケスはそう言って、昨シーズンの終盤戦で柴崎を重用した。しかしチームは失速し、2部B(実質3部)への降格を余儀なくされているのだ。

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「チームを勝利させるボランチ」

 スペインでは、チームに勝ち星をつけられるボランチが評価される。自らゴールすることも悪くないが、それよりもチームを機能させ、周りの選手の実力を発揮させる、「回し役」と言えばいいだろうか。そのためには、守備が基本となる。持ち場で負けない、破られない、そこでの精強さによって、攻撃に猶予を与えられるからだ。

 今シーズン、第9節終了時点で柴崎は5試合に先発出場し、3試合に交代出場している。ゴールだけでなく、アシストも記録。現状ではレギュラーと言えるだろう。

 チームも5位と、昇格に向け、まずまずの順位をキープしている。攻撃陣のメンツは2部では屈指と言える。ボルハ・バストンはエイバル時代、得点を量産したストライカーでエースとして期待される。すでに3得点のサビン・メリーノは昨シーズン、デポルで柴崎とチームメイトだった。そしてホセ・アルナイスは、バルサでもデビューを飾った大器で、2部で再起を目指している。

 懸念は、失点の多さだろう。直近のサバデル戦も、圧倒的に攻めながら決め切れず、一発に沈んだ(柴崎は後半21分から途中出場)。ここまで5勝4敗と、どうも安定感がない。

 そこで、柴崎は周りの選手を生かすような役割が求められる。攻守の舵を取る。まさにボランチ(ハンドル)の語源の化身となれるか――。

 同じことは日本代表についても言える。11月5日には招集メンバーの発表が行なわれる予定だが、柴崎が選ばれることは間違いないだろう。実力、実績ともに十分だ。

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