クラシコに勝利した6日後、なぜかレアルはトルシエジャパンと戦った (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●写真 Nakashima Daisuke

 ロベルト・カルロスが引き上げてくると、柵の向こうで出待ちしているファンから「ロベカル!」の声が挙がった。瞬間、声を掛けたのが日本人であることが判明した。「ロベルト・カルロ」と最後の「ス」が聞き取れるか聞き取れないか、ギリギリの感じで発音するのが地元の人で、間違っても「ロベカル」とは略さないからだ。

 何を隠そう、ロベカルとは筆者が考えた略である。原稿を執筆するときに、毎度ロベルト・カルロスでは長いので"ロベカル"と記したのだ。それが、気がつけば一般に浸透してしまったのだ。欧州サッカーを担当する実況アナウンサーが使用したから広まったのだと考えるが、オリジナルは筆者である。

 サンティアゴ・ベルナベウを最初に訪れたのは1982年。スペインW杯の時だった。イングランド、西ドイツ(当時)、スペインの3カ国で争った2次リーグ3試合と、決勝戦(イタリア3-1西ドイツ)の舞台になっている。スタンドの器はいまより小さかったが、立ち見席が設けられていたため、決勝戦は9万人の観衆を集めて行なわれている。

 早い話が古いスタジアムなのだが、そこから改修をくり返して現在に至っている。2007年の改修で立ち見席を撤廃したのを機に、UEFAから最上級を意味するカテゴリーのスタジアムに認定された。2009-10シーズンにはCL決勝(インテル2-0バイエルン)の舞台になっている。

 現在、大規模な改修が始まっていて、完成は2023年になるという。バルセロナの本拠地、カンプノウと同じタイミングで改修が行なわれているわけだ。カンプノウが地中海を意識した開放的な空間を目指しているのに対し、サンティアゴ・ベルナベウは、スタジアム全体を箱で囲むようなイメージの、密閉性の高い造りになるという。

 スタジアム対決で勝利を収めるのはどちらか。完成が待ち遠しい限りだ。

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