得点ランク首位。4部からプレミアに移籍したFWが示す空中戦の重要性 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 エバートンでは399試合プレーして349得点。01年にはグディソンパークに彫像が建てられている。1927-28シーズンの60ゴールはいまだに破られていない大記録だが、それを達成した時のディーンはまだ21歳だった。

 7歳から11歳まで牛乳配達をしていたそうだ。第一次大戦中の戦時労働だった。朝4時半に起きて、配達用の子馬とともにかなり離れた農場へ向かい、牛乳を積んで町中の家に配達して回った。

 エバートンが優勝した1914-15シーズンに、父親がディーンをグディソンパークに初めて連れて行ってくれた。その時以来、エバートンの大ファンになっている。ディーンはエバートンで初めて背番号9のシャツを着用し、以来それがクラブのエースナンバーになった。

 キャルバート=ルーウィンが背負っている9番は、マンチェスター・ユナイテッドの7番に相当するわけだ。ディキシー・ディーンとキャルバート=ルーウィンの共通点はヘディングシュートである。

 ディーンは圧倒的な空中戦の強さで知られ、多くのゴールをヘディングでゲットしていた。ハイクロスはイングランドのお家芸、主要得点パターンだったのだから、空中戦に強いストライカーこそ真のエースだった。

 元MFのキャルバート=ルーウィンは、それ専門というわけではないがやはりヘディングの得点が多い。187㎝と高さがあるだけでなく、しなやかに高く跳ぶ。片足踏切のジャンプ、空中での体の反り、捻りを効かせる筋力がある。軽さを感じさせるヘディングだ。

「ヘディングはファンタスティックだ。ボックス内でのクレバーさ、鋭さもある。イングランドとヨーロッパのトップに立てる素材だ」(エバートン、カルロ・アンチェロッティ監督)

 オーバーヘッドなどアクロバティックなシュートも得意。足下の技術も高く、スピードもある。MF出身らしくパスもうまい。若いころのズラタン・イブラヒモビッチ(ミラン/スウェーデン)に似ているかもしれない。

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