2020.10.24

久保建英の活躍に現地紙最高評価。
それでもベンチから怒声が飛んだ理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「クボ(久保建英)は驚異の選手である。その点に何の疑いもない。自由を得てプレーするときの彼は、まるで(叩き潰す)ハンマーだ」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、久保のプレーをそう激賞している。

 10月22日、ヨーロッパリーグ開幕戦で、ビジャレアルはトルコのシバススポルを5-3で下した。その一戦にトップ下のポジションで出場、1得点2アシストの活躍をしたのが久保だった。今シーズン初となる先発出場で、その価値を示したのだ。

ヨーロッパリーグ初戦のシバススポル戦にフル出場した久保建英(ビジャレアル) 久保は、新天地で着実に道を切り開いている。

 スペインでは、勝利を決めるプレーが高く評価される。その点、シバススポル戦の前のバレンシア戦で、久保が交代出場し、ダニエル・パレホの決勝点をアシストしたことは大きかった。2枚のイエローカードで退場処分になった(その後、処分は撤回)ものの、評価を落としていない。

「久保の退場は不運で、ふさわしい処分ではなかった」

 スペイン人指導者、ミケル・エチャリもそう力説している。ビジャレアルの監督であるウナイ・エメリがレアル・ソシエダBの選手だった時、監督を務めていた人物だ。

「久保は交代出場で、高い能力を示した。マークの外し方、ボールの運び方、そして守備でもしっかり戻って中を締め、連係してボールを奪う場面もあった。何より、決勝点のシーンは、高い評価を付けられる。一度、コントロールでもたついたにもかかわらず、すかさず修正し、ヒールでパレッホの得点をアシストするなど、才能を証明した」

 今シーズン初の先発は、久保自身が勝ち取ったものと言える。その攻撃センスは飛び抜けている。

 シバススポル戦の久保は、12分にいきなり結果を残した。サムエル・チュクウェゼの放ったミドルシュートを、敵GKがはじいたこぼれ球を、左足で押し込んだ。ゴールに近いところでの嗅覚に似たポジション取りと、シュートの時の冷静さは特筆に値する。

 19分にも、バックラインの前に巧妙に入り、右サイドからボールを受け、左足でコントロール。トップのカルロス・バッカが裏を狙う歩幅に合わせ、左足アウトサイドで完璧なスルーパスを出した。ビジョン、技術、タイミングともに非の打ちどころがないプレーで、バッカは右足を振り切るだけだった。