2020.10.26

南野拓実、レギュラー奪取の近道は
フィルミーノとの「共存」にあり

  • 田嶋コウスケ●文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 リバプールのFWロベルト・フィルミーノが、10月24日に行なわれたシェフィールド・ユナイテッド戦で今季初ゴールを決めた。

 偽9番として機能しながら、自ら単独突破もできるブラジル代表FWは、世界的に見ても稀有な存在だ。今季はここまで得点がなかったことから、批判的な意見も出始めていたが、彼の特性を考えると、ゴール数だけで評価するのはあまりに短絡的だ。

フィルミーノとの入れ替わりでピッチに入った南野拓実 フィルミーノの巧さはどこにあるのか。リバプールのクラブOBで元イングランド代表FWのピーター・クラウチは「周囲の味方を生かすことのできる、非常に珍しいFW」と説明する。その言葉どおりだ。

 フィルミーノの基本ポジションは4−3−3のCF。だが、役割は純粋なCFのそれではない。

 最前線からやや低め目の場所にポジションを取り、味方の位置取りを確認しながら、両翼のサディオ・マネやモハメド・サラーにスルーパスを供給する。そうかと思えば、自らもペナルティエリア内に侵入し、ラストパスを呼び込んでシュートまで持っていく。

 その際も、周りにフリーの味方がいればワンタッチで落とし、効率的にチャンスを生み出している。サラー、マネとの優れた連係も大きな武器。いわば、攻撃をスムーズにする潤滑油のような役割を果たして、リバプールにとって欠くことができない存在と言える。

 フィルミーノがとくに優れているのは、首を左右に振って周囲の状況を常に把握している点だ。

 ボールを受けた時には味方の位置が頭の中にあるから、ヒールキックやワンタッチパスで味方のチャンスを演出できる。プレミア第5節のエバートン戦(10月17日)でも後方にいるサラーにボールを素早く落とし、エジプト代表FWがシュートまで持っていくシーンが何度かあった。

 ユルゲン・クロップ監督の信頼は数字に現れている。2015年10月に発足したクロップ体制で、フィルミーノの試合出場数はクラブ最多(244試合)。2位のジェームズ・ミルナー(212試合)、3位のジョルジニオ・ワイナルドゥム(194試合)を大きく引き離している。