南野拓実がCL開幕戦で見せた役割。0トップで出場時間は増える (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 だが、その代償として、このアヤックス戦を引き分ける、あるいは、落とすというリスクを抱えていた。メンバーを落として戦うことになった、リバプールの残り30分強の戦いが案じられた。だが、心配は杞憂に終わった。0-1のまま終了の笛を聞くことになった。

 そしてアヤックスが徐々にペースを失っていったことに、南野は少なからず関与していた。1トップ、フィルミーノの位置でプレーすることになった南野は、CFのポジションにデンと構えるというよりも、9番と10番の中間に位置する0トップとして、つなぎに積極的にかかわった。

 その結果、支配率は向上し、リバプールのボール回しは安定した。南野はゲームを落ち着かせる役を果たしたのだ。CFとして起用されながら、守備に安定をもたらす役を果たしたことになる。
 
 南野のチーム内での立ち位置、役どころが見えたように思う。相手の反撃精神を削ごうとした時、中盤とFWをつなぐ潤滑油として、機能しそうな選手に見える。

 チアゴ・アルカンタラが加わる中盤は、さらに激戦になることが予想されるだけに、9番と10番の中間型である0トップとしてチームにハマることができれば鬼に金棒。出場時間は延びるだろう。

 ちなみに日本人選手でCL第1節のピッチを踏んだ選手は、南野を含め4人。酒井宏樹(マルセイユ)、中島翔哉(ポルト)、奥川雅也(ザルツブルグ)。酒井は先発フルタイム出場で、他は途中交代出場だった。4人の出場時間は計151分となる。これは日本サッカーのレベルを示す注視すべきバロメーターであることは言うまでもない。

 2連覇を狙うバイエルンはアトレティコとのホーム戦に4-0で快勝。幸先よいスタートを切った。逆に3年ぶりの優勝を狙うレアル・マドリードはホームでシャフタールに敗れ、暗雲を漂わせている。ロナルド・クーマン率いるバルサはフェレンツバロシュに5-1で大勝。交代出場を果たした17歳の若手、ペドリの活躍が目をひいた。

 2021年5月29日、トルコのイスタンブールで行なわれる決勝の舞台に進むのは、どのチームか。長丁場の戦いに目を凝らしたい。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る