釈放後のロナウジーニョの今。酒とバラの日々で「世界で一番幸福な男」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ブラジル人は、ロナウジーニョがその知名度を利用されて、何らかの事件に巻き込まれたと思っている。パラグアイは南米では有名な何でもありの国だ。すべては金次第で汚職が蔓延し、すべての法に抜け道がある。パラグアイ当局はロナウジーニョという世界的有名人を逮捕することで、自分たちが有能であり、きちんと仕事をこなしていることを宣伝したかったのではないかという見方もある。

 ロナウジーニョの弁護士は、兄弟がパラグアイ警察の幹部から「金を払ったら、今すぐブラジルへ逃がしてやる。秘密裏に国境まで連れて行ってやろう」と持ち掛けられたと明かしている。ロナウジーニョ自身は、「パラグアイを去る時は、堂々と玄関から出ていきたい」としてこれを断ったというのだが......。何でもありの国なので、ブラジルでは、「返されたロナウジーニョも実は偽物なのでは?」というジョークが流行っている。

 ただし、ロナウジーニョも決して「白」とは言えない。

 ロナウジーニョは今回、自伝のプロモーションでパラグアイに行ったが、これまで彼がプロモーションを行なってきたのはドイツ、中国、ロシアなど大国ばかりである。なぜわざわざ人口700万人の、本などあまり売れないパラグアイに宣伝に行ったのか。

 今回のパラグアイ訪問を企画したのはダリア・ロペスという女性である。彼女は以前から国際的犯罪組織との繋がりが噂される人物だ。パラグアイに銀行口座を開けば、ブラジルより格段に低い税金ですむことを口説き文句に、ロナウジーニョにパラグアイに資産を移させ、それを利用して彼女自身はマネーロンダリングをするつもりだったのではないかとの見方もある。そして、そのためにはロナウジーニョのパラグアイのパスポートが必要だった。ロナウジーニョの逮捕後、彼女は姿をくらましている。

 ロナウジーニョ自身がどこまで真相を知っていたのかは定かでない。だが、ロナウジーニョを被害者だと見ている人は多く、事件があったにもかかわらず、彼の人気は変わることがない。彼のインスタは最近フォロワーが一気に増え、現在は5100万人以上に上る。

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