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元祖天才が久保建英を詳細に分析。「消えた天才たちとは明確に違う」 (4ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by AFLO

 ヨーロッパのサッカーが高度に組織化、戦術化してきた以上、チームの一員として課されたタスクをこなした上で、スペシャリティを出すことが求められている。「ボールを持ったらうまいんだけど...」という選手は評価されなくなり、ファンタジスタが組織のなかでハードワークするのが、現代サッカーだ。

20年以上選手育成に携わる菊原志郎氏。オンラインで取材に応じてくれたphoto by Sportiva20年以上選手育成に携わる菊原志郎氏。オンラインで取材に応じてくれたphoto by Sportiva 菊原氏は「その姿勢は、日本代表として世界を相手に戦う時にも重要になる」と言う。

「僕がU-17日本代表のコーチとして、世界大会を戦って感じたのは、ひとりでも守備をサボる選手がいたら、ブラジルやスペイン、フランスからボールを奪えないし、ましてや勝てないということ。それは中島翔哉や南野拓実にもかなり伝えました」

 南野がイングランドのリバプール、中島がポルトガルのポルトでプレーするなど、彼らがヨーロッパで高く評価されているのは御存知のとおりだ。菊原氏自身、育成年代の指導について、次のように感じている。

「その選手の目標はどこにあるのか。日本代表なのか、ヨーロッパで活躍することなのか。それを明確にした上で、得意な部分を伸ばしながら、苦手な部分をなくす。戦術的なサッカーのなかでチームの役割を果たしながら、自分の能力を出せるような育て方をしていくのがいいと思います」

「日本の育成もたくさんの経験を経て、よい方向に向かってきていると思う」と語る菊原氏。日本にも久保や南野、冨安健洋など、攻守に戦術的な動きができて、スペシャリティを持った選手は、ヨーロッパのマーケットでも高く評価されている。彼らの成功例にならい、日本サッカー全体として、どう選手を育成すべきかという道筋が見えてきたのではないだろうか。

菊原志郎
きくはら・しろう/1969年7月7日生まれ、神奈川県出身。小学4年生から読売クラブ(現東京ヴェルディ)でプレー。16歳でトップチームの試合にデビューし、以後同クラブの中心選手として活躍。Jリーグではヴェルディ川崎、浦和レッズでプレー。引退後は東京ヴェルディの育成組織や、U-17日本代表、JFAアカデミー福島、横浜FMジュニアユースでコーチや監督を務める。現在は中国スーパーリーグ・広州富力のアカデミーダイレクターとして、クラブの育成部門を統括している。

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