ネイマールが特別な才能を発揮。プレッシャーを無効化する技術の勝利 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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<テクニックはプレッシャーに勝利する>

 PSG対アタランタ、PSG対ライプツィヒ。どちらも試合のポイントは同じだった。「テクニック対プレッシャー」である。

 個々の技術で劣勢のアタランタ、ライプツィヒにとっては、相手の技術を無効化する守備が必須である。選手の配置とプレッシャーが大切になるが、配置はプレッシャーをかけるためなので、1つに絞ればカギはプレッシャーだ。

 90年代から「時間とスペースを奪う守備」という言葉がよく使われるようになった。ボールをプレーする選手が技術を発揮する、時間も場所も与えない。そうすればボールは奪える。

 いい奪い方ができれば、それはそのまま攻撃力に直結する。だから技術に技術で対抗する必要はまったくなく、技術を体力(戦術)で無効化してしまえば試合には勝てる――アタランタもライプツィヒも、大雑把に言えばこの考え方に依拠している。

 間違いではない。ただ、プレッシャーが通用しない選手は存在するのだ。

 可能なかぎり時間とスペースを限定しても、なお奪えない選手はいる。それ以上プレッシャーを強めれば、ファウルになるか入れ替わられてしまう。そういう選手であり、つまりプレッシャーが必ず敗北するテクニックの持ち主だ。たったひとりであっても、プレッシャー側には無視できない存在である。

 ライプツィヒはプレスの方法を3度変え、何とかPSGからボールを奪おうとしたが、うまくいかなかった。例外的なネイマールにパスが入らないようにもしていたが、そのために常に守備システムに自ら穴をつくっていた。

 PSGにはさらにもうひとりの例外(キリアン・ムバッペ)がいて、ほかは例外ではないがそれに近い選手で占められている。それでもネイマールがいなければ、ライプツィヒは何とかなったのかもしれない。

 ネイマールはボールを持つたびに、股抜きでプレッシャーをかいくぐっていた。例外的な選手を相手にプレッシャーを最大化させると、こうなるという典型だ。

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