岡崎慎司が語る今季。「2部」を受け入れ戦う覚悟ができた瞬間がある (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ようやく届いたオファーは、トップリーグではなく2部だった。岡崎はキャリアで一度も2部でプレーした経験がない。

「もちろん、1部からのオファーがあれば理想でした。ただ、マラガからオファーをもらった時に、それもアリかなって思ったんですよね。2部からスタートして、自分で這い上がって、トップリーグへの挑戦を掴み取るのもアリかなって」

 岡崎がそう思えたのには理由があった。レスターで1年目にプレミアリーグ制覇の偉業を達成したものの、その後はケガの影響で思うようなシーズンを送れないことが多くなっていた。最後のシーズンは、ヨーロッパでプレーしてきて初めてリーグ戦を無得点で終えた。

「レスターでの最後の1年は本当に苦しかった。あの4年間で得たものはたくさんあったけど、同時に失ったものも多かった。"ストライカー"として必要なものを残せていない不安は、ずっと抱えていました。そんななかでスペインのクラブからの評価を聞いた時に、やっぱりゴール数だったり、試合数だったり、プレー時間の影響が大きかった。本当に現実的な評価を突きつけられました」

 現場のリアルな評価に岡崎はショックを受けた。ただ、それは岡崎をもう一度奮い立たせるものでもあった。

「その評価は本当に響いたけど、受け入れるしかない。初めてヨーロッパに挑戦した時を思い出しましたよね。ドイツでキャリアを一から築いていったように、スペインでまた一からやっていくしかない。そういう気持ちにさせられました。自分は崖っぷちのほうが気持ちが昂るタイプで、2部からのスタートもアリだなって。しかも34歳という、年齢的にサッカー選手として終盤に差し掛かるこのタイミングで。うん、悪くない。それも俺らしいなと」

 そしてマラガでプレシーズンを過ごした岡崎は、思わぬトラブルに巻き込まれる。マラガがラ・リーガの定める選手年俸総額の限度を超過していたため、岡崎の選手登録が開幕に間に合わなかったのだ。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る