岡崎慎司が語る今季。「2部」を受け入れ戦う覚悟ができた瞬間がある (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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「今となってはよい思い出と言えるかな......。開幕戦を3日後に控えた日に『選手登録ができない』と告げられました。そのタイミングで自分が試合に出られないのは、僕にとってはもちろんですけど、チームにとっても大きなことだったと思いますね」

 それからも岡崎の選手登録はなかなか完了しなかった。

「次の試合もまだ登録できない、その次の試合もまだできないと言われて、1週間ごとに『またあかんのか』って。それで結局、移籍市場が閉まるギリギリでの契約解除。その時は結構メンタル的にやられました」

 岡崎はマラガと契約解除した2日後に、同じ2部リーグのウエスカと契約を結んだ。すでに第3節が終わっていた。

「契約した当初、ウエスカは2勝1敗でチームの調子は悪くなかった。しばらくは出場できないだろうなと思いましたね。でも、これで試合に出られる(可能性がある)喜びのほうが大きかった」

 本人の心配をよそに、岡崎は第4節に早速ベンチスタートから出場。第6節からは先発で出場するようになった。レスター時代には叶わなかった"9番"のポジションでのプレーだった。やはりそこに喜びは感じたのだろうか。

「レスター時代にやっていたプレーは決して嫌だったわけではないですよ。あれは自分が試合に出るための手段だった。レスターにはジェイミー・バーディーという絶対的なストライカーがいて、自分はポジションを勝ち取るためにはどうすればいいのか。そう考えた時にあのスタイルが生まれて、必死に見つけた自分の居場所でした」

 レスターで生き残るため、チームのために身を粉にしてピッチを走り回ったあの頃と、ウエスカで見える景色は違ったという。

「レスターでは(カウンターが多く)ゴールから自分がとにかく遠かった。でもスペインはビルドアップからチーム全体で崩していくので、ゴールが近く感じました。スペインはプレミアよりかは身体能力がずば抜けている選手は少なくて、自分のFWとしての特徴や経験を出せればポジションを勝ち取れるチャンスがある。2部だけど、ここは自分のストライカーとしての能力で勝負ができる国だなって思いましたね」

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