2020.08.15

本田圭佑の「心踊るプレー」を待つ
ボタフォゴ。大物加入で好転なるか

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ブラジル人が喜ぶサッカーとは、安定した間違いのないプレーではない。多少リスクを冒しても、目を見張るような華麗なプレー、見るだけで心躍るようなサッカーを求めている。彼がボールを持ったらきっと何かしてくれる。そんなワクワク感がこの日の本田からはまったく感じられなかった。

 ブラジルメディアがこの試合の本田につけた点数は5.5(10点満点)。それほどひどいプレーではなかったものの、彼ならばもっとできたはずという点で辛口となったのかもしれない。実際、本田への期待は依然として高いものがある。本田がリオにやって来たころの期待度が100だとすれば、今は70くらいと言ったところか。まだまだみんな、本物の本田が目を覚ますのを待っている。

 ただし、チームの行く末となるとかなり悲観的な見方が多い。全国選手権で上位6位に入ると、コパ・リベルタドーレスの出場権が得られる。ボタフォゴのシーズンの目標はそれを手に入れることだ。だが、今のままの調子ではかなり難しいだろう。この試合を中継したテレビ局のコメンテーターは「ボタフォゴの行先には早くも赤信号がともった」と言う。サポーターの中には、セリエB降格(下位4チーム)を危ぶむ声さえ出てきた。ボタフォゴは初戦で冷や水を浴びせられた。

 明るい材料がないわけでもない。2月からチームを率いているアルトゥオリは優秀な監督だ。ただコロナで練習や試合が中断されたため、チーム作りが思うように進まなかった。「このチームはいま建設中だ」と彼自身も言っている。

 この試合でゴールを決めた23歳のストライカー、マテウス・バビを筆頭に、成長中の若手も多い。またガティート(猫)のニックネームを持つGKロベルト・フェルナンデスはゴール枠に飛んだシュートのうち3つを、その名の通り猫のようにしなやかにファインセーブした。

 そしてこの今週末にはチェルシーやヘルタ・ベルリンのFWとして活躍したソロモン・カルーがボタフォゴにやって来る。本田が加入当初から望んでいたもうひとりのビッグプレーヤーだ。これまでヤヤ・トゥーレなどとも交渉してきたがすべて破談。今回やっと契約にまでこぎつけた。この土曜日にはチームの創立記念とともに顔見世をし、早ければ次の試合で本田と共にプレーする姿が見られるかもしれない。