久保建英とビジャレアル監督の共通点。スペイン代表3人との連携に眼福の予感

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutshu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 ビジャレアルに加入した久保建英(19歳)の最適なポジションはどこになるのか?

ビジャレアルでの入団会見に臨んだ久保建英ビジャレアルでの入団会見に臨んだ久保建英 2019-20シーズン、ビセンテ・モレーノ監督が率いるマジョルカで、久保は主に右サイドアタッカーとしてプレーしている。右サイドから中央に切り込み、コンビネーションを作り、左足で決定機を作る。シュート精度も極めて高く、ほとんどが枠内に飛んでいた。

 それは、久保の有力なポジション候補のひとつだろう。

 しかし、それ以外の可能性もまだまだある。事実、マジョルカでも中央や左サイドで連係する力も示し、どのゾーンでも味方を生かし、敵を怯(ひる)ませる術を知っていた。飛び抜けたボール技術があることで、置きどころがよく、相手の重心を見極められるため、常に逆を取ることができる。逆を取った後の俊敏性も秀逸で、シュートの振りは際立って速い。相手を幻惑させるプレーを生み出すだけでなく、ゴールに迫ることもできるのだ。

 では、ビジャレアルの新監督に就任したウナイ・エメリは、どのように久保を生かすのか。

 ひとつ、久保とエメリには共通点がある。現役時代、エメリは久保と同じ左利きのサイドアタッカーだった。

「エメリは左利きのアタッカーで、センスを感じさせる選手だったね」

 当時、レアル・ソシエダのBチームの監督を務めていたミケル・エチャリは、指揮下の選手だったエメリについてそう証言している。

「戦術にも当時から熱心で、シーズン中に、"崩し切って最後はエメリのラストパスで勝負を決める"という攻撃練習を、何度も何度も重ねて完成させたことがあった。そして、実際にその場面が試合で訪れたことがあったんだよ。ところが、エメリはパスを出さず、自分で打った。それで外してしまってね。選手の判断に関しては尊重するが、あの時は珍しく口論になったのを覚えているよ」

 エメリの祖父は、スペイン国王杯を2度も制したことがあるバスクの伝説的GKのひとりだった。父も、アラベス、デポルティーボ・ラコルーニャ、スポルティング・ヒホン、グラナダなどで活躍したGK。まさにGK一家で、独特の深淵なるサッカー理論を熟成させたのかもしれない。

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