岡崎慎司ら欧州組の環境適応力を福田正博が称賛「守備の違いにも対応」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 南野は冬にリバプール(イングランド)へ移籍したが、その後は予想していたとはいえ、厳しいシーズンになった。ユルゲン・クロップ監督の傾向として、1月に獲得した選手はチームに慣れるまでは慎重に起用されるところがある。南野にもそれは当てはまった。

 それでも南野はザルツブルグ時代にもベンチスタートを何度も経験してきたこともあって、少ない出場機会のなかでもゴール前でチャンスをつくり出せていた。あとはゴールを決めるだけだったのだが、決め切れなかったのが悔やまれる。

 ゴールという目に見える結果が出れば、味方や監督からの信頼は高まり、道は拓けていく。こればかりは自分の力でしか変えられないもので、南野自身もよく理解しているはずだ。リバプールというビッグクラブに身を置く南野には、移籍後1年になる来季1月頃までにはコンスタントに出場できるようになっていてもらいたい。

 今季のブンデスリーガ2部では、シュツットガルトの遠藤航が21試合1得点。評価を高めて4月には完全移籍を勝ち取った。

 昨季はベルギーのシント・トロイデンでプレーし、今季序盤にレンタル移籍でシュツットガルトに加入した遠藤だったが、最初はアグレッシブな守備ができずに苦労していた。

 ヨーロッパの主要リーグでは、ボールを持っている相手から「ボールを奪う」プレーを強く求められる。しかし日本では、一歩引いたところで相手に「抜かれない」とか「プレーを遅らせる」という対応をする選手が多い。ヨーロッパでプレーする多くの日本選手が、最初にこの違いに戸惑う。

 遠藤もそこで苦戦したが、若い頃から自分を客観視できる彼は、環境にアジャストする能力の高さを発揮して、シーズン中盤からはアグレッシブな守備でチームを支えた。チームの信頼を勝ち取ったことが、完全移籍につながったのだろう。

 また攻撃面では、中盤のアンカーの位置から縦パスを入れたり、自らがゴール前へ出ていくシーンが増えたのにも、成長を感じさせた。なにより戦術理解度が高く、気が利いたプレーができている。

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