2020.07.28

「宇宙船」。建築家・黒川紀章が設計した
ロシアの超斬新スタジアム

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

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ガスプロム・アレーナ(サンクトペテルブルク)

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 2018年6月22日。観戦する試合はブラジル対コスタリカで、目指すは人口約540万人、ロシアで2番目に大きな都市、サンクトペテルブルク。スタジアムはガスプロム・アレーナだ。ロシアW杯グループリーグC組の一戦である。

 乗車したのは、早朝7時前後発の「サプサン号」。モスクワ・レニングラーツキー駅発のロシア式新幹線である。目指すは終点、サンクトペテルブルク・モスコフスー駅。

 モスクワからの距離は直線で650キロ。線路上にすると750キロになる。東京を始点とすれば岡山と広島の中間あたりか。所要時間は4時間。日本の新幹線といい勝負である。だが乗り心地、快適性では軍配はこちらに挙がる。

 サンクトペテルブルク・モスコフスキー駅に到着。町の風景がロシアの他の都市とは違う。ロシア的というよりヨーロッパ的。それも筆者が好きなタイプのヨーロッパ色である。初めての訪問なので、町を探索してみたくなったが、とりあえずスタジアムへ。地下道で繋がる地下鉄駅のマヤコフスカヤ駅まで歩き、そこから地下鉄3番線で約20分。スタジアム駅であるノボ・クレストフスカヤ駅に到着する。

 クレストフスカヤとはスタジアムがある島の名前だ。ガスプロム・アレーナはネーミングライツの名前で、クレストフスカヤ・スタジアムとも言われる。ロシアW杯では、スタジオン・サンクトペテルブルクで統一されていた。

 目の前に広がるのはフィンランド湾だ。とても泳ごうという気にはなれない、夏なのに見るからに冷たそうな、まさに北の海だ。フィンランドとの国境は100キロちょっと先。その首都であるヘルシンキとはほぼ同じ緯度にある。ここはロシアと言うよりもはや北欧である。なんとも言えない清涼な風が肌をくすぐる。遠くまでやってきたものだとつくづく思う。

ロシアW杯では準決勝フランス対ベルギー戦などが行なわれたガスプロム・アレーナ スタジアムもまた地下鉄駅の目の前にある。海に近い絶好のロケーション。足は軽やか。大股で早足になる。舞浜駅からディズニーランドを目指して歩くようなウキウキ感とでも言おうか。次第にその全景が眼前に迫ってくる。