チェルシー対バルサ。老夫婦は
「これまで見た中で一番の試合」と言った (3ページ目)
密閉性は高い。ピッチまでの距離も近い。反響率が高いスタジアムだ。そして思いのほか男臭い。目立つのは男性ファンの姿だ。女性客は10人に1人。2人はいない。正面スタンドには、会社帰りとおぼしきスーツ姿の、仕事できる系サラリーマンが目立つ。
敷地内に四つ星ホテル(「ミレニアムホテル」)が併設されていることも特徴のひとつになっている。サッカーと直接関係ない商業施設、娯楽施設を併設した複合的かつ多機能的な方向性は、スタジアムが探るべきものとして2000年になった頃から、明確になっていた。
ホテル併設もそのひとつ。CL級のクラブでは、バイヤー・レバークーゼンのバイアレーナの「リントナー・ホテル」が先駆けだったと思う。かつて川口能活が在籍したノアシェラン(デンマーク)のスタジアムも、スタンドの上階がホテルという面白い造りだった。スタンフォード・ブリッジもそうした意味で進歩的なスタジアムと言えた。完成した当時、ホテルの内部を覗いたことがあるが、モダンでデザイン性も高かった。
フラム・ブロードウェイ駅まで徒歩5分。治安もトッテナム・ホットスパーやアーセナルのスタジアム周辺より遙かによい。試合が行なわれない日でも普通に泊まりたくなるロケーションだ。
ホテルがいつ完成したのか、正確には知らないが、遅くても2005年3月8日にはオープンしていたと記憶する。スタンフォード・ブリッジで見た一番の名勝負は、その日に行なわれたCL決勝トーナメント1回戦、チェルシー対バルサの第2戦になる。
カンプノウで行なわれた第1戦は2-1でバルサ。かつてバルサでアシスタントコーチを務めたチェルシーの監督モウリーニョに、容赦なくブーイングが浴びせられた試合でもあった。
第2戦は戦前から大いに盛り上がっていた。チェルシーに取材申請書を送ると、「記者席満席につきお断り」と初めて却下された。仕方がなく、高額なチケットを購入。一般席から観戦することになった。
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