際立つレアルの老獪さ。ジダン監督は「奇異な状況」に自信あり

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 6月14日、リーガ・エスパニョーラ第28節。レアル・マドリードはディ・ステファノスタジアムにエイバルを迎え、3-1で勝利している。コロナ禍によるリーグ戦中断を経て、3カ月ぶりの再開。チーム練習は十分と言えず、本拠地サンティアゴ・ベルナベウは改修中とあって、トップコンディションは望めない。本来の出来には程遠かったが、戦力差で押し切った。

「力半分でも、マドリードは多勢なり」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、そんな見出しでこの一戦を評している。

 レアル・マドリードの強さの源泉とは――。

エイバル戦で2点目を挙げたセルヒオ・ラモス(左)とエデン・アザールエイバル戦で2点目を挙げたセルヒオ・ラモス(左)とエデン・アザール エイバル戦の前半2分、マドリードはいきなり本性を見せた。

 中盤での攻防で、一度ひっかけられたボールをカゼミーロがカットし、こぼれ球をダニエル・カルバハルが拾い、カゼミーロにつなげる。カゼミーロは素早く、前方のエデン・アザールにつける。アザールはボールを持ち運び、キープしながら、後方のカゼミーロに預ける。カゼミーロは直接、浮き球で左サイドのカリム・ベンゼマへ。ベンゼマは左サイドを縦に持ち込み、相手2人の間を割って入ろうとしたが、エリア内でカットされる。だがその甘いクリアを拾ったトニ・クロースは、右足ダイレクトで右上隅にコントロールし、先制に成功した。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る