2020.06.12

アグエロが得点を量産する秘密。
ゴール前では「特殊能力」を発揮する

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカースターの技術・戦術解剖
第12回 セルヒオ・アグエロ

<ボックスの王>

 セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ/アルゼンチン)は身長173cmと小柄だが、ボックス(ペナルティーエリア)内で勝負するストライカーは、むしろ小柄なタイプが多いかもしれない。

マンチェスター・シティでゴールを取りつづけるアグエロ 空中戦が得点源というタイプは高身長だが、それよりも小柄で俊敏なFWのほうが得点を量産している印象がある。史上トップクラスのゴールゲッターであるゲルト・ミュラー(当時西ドイツ)とロマーリオ(ブラジル)は、共に小柄だった。

 小さなストライカーの武器は速さだ。30mを走れば決して速いほうではないが、スタートは速い。初速の2、3歩が速いのが特徴である。そして足が短い。体幹が強い。O脚も共通点だ。ただ、こうした外見上の特徴よりも、得点力の秘訣はもっと見えにくいところに隠されているようだ。

 優れたゴールゲッターはシュートがうまい。ただ、シュートがうまいのはキックのうまさとイコールではない。もちろんキックもうまいのだが、パスとシュートは違うところがあるのだ。たとえば、パスのターゲットになる味方は動いていることが多いが、シュートのターゲットであるゴールは動かない。もう1つ、シュートの場合、相手はフィールドプレーヤーだけでなく、GKがいる。