CL史上、最もマジメな得点王。そのフィンランド人は10番の概念も変えた (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 CLで連覇を飾るチームは、前述のミラン以来、2015-16シーズンから3連覇を達成したレアル・マドリードまで、四半世紀以上、出現しなかった。そのなかで最も惜しかったチームが、このユベントスとの決勝で、延長PK負けしたアヤックスとなる。最も印象に残るチームと言いたくなる理由でもある。

 リトマネンが決めた同点ゴールは、1995-96シーズンのCL通算9点目。彼は得点王に輝いた。当時の決勝トーナメントは8チームで争われていたため、決勝までの全試合数はホーム&アウェー方式で計11試合(グループリーグ6試合+トーナメント5試合)。ゴール率の高さが目に留まる。

 しかし、リトマネンはCFではない。中盤ダイヤモンド型3-4-3のCF(ヌワンコ・カヌあるいはパトリック・クライファート)の下で構える1トップ下だ。

 高校時代まで、アイスホッケー選手とサッカー選手を掛け持ちしていた。2001年、筆者がフィンランドのラハティで開催されたノルディックの世界選手権に出かけた時のことだ。駅から会場まで向かったタクシーの運転手は、こちらがサッカー取材に出かけることのほうが多いスポーツライターだと伝えると、「知ってるか、キミ。リトマネンはこの街の生まれで......」と、彼についてとうとうと解説を始めたのだった。

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