ロナウドがゴールを量産できる要因を分析。駆け引きのポイントは? (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer
DF間を斜め裏に抜け、縦パスを呼び込む

 まさに一瞬の勝負だった。このシチュエーションでまず注目するのは、ロナウドのポジショニングだ。ウィリアム・トロースト=エコングとブラム・ナイティンクの間のやや手前に歩いていき、ふたりのDFがマークをしづらい位置に止まる。トロースト=エコングは背後で見えておらず、ナイティンクはCB間の距離が近すぎることを気にしながらのマークになった。

ロナウドは斜め前への瞬間的なダッシュでマークを振り切り、ゴールを決めたロナウドは斜め前への瞬間的なダッシュでマークを振り切り、ゴールを決めた そんな前線の状況を見ながら、中央へボールを運ぶイグアインはロナウドのアクションを待っていた。ロナウドの選択肢は2つ。相手MFとDFのライン間でボールを受けて起点をつくるか、あるいは裏のスペースへ抜け出すか。

 ナイティンクは2つの選択肢に備えていたはずだ。ただロナウドの、走り出す瞬間までどちらにも的を絞らせない、『抜け感』が見事。そしてイグアインがスルーパスを出せる位置までボールを運んだ瞬間、爆発的に加速して裏へ走り出した。それを待っていたイグアインはすかさずスルーパス。

 ナイティンクは完全に振り切られてしまい、この瞬間に勝負あり。トップスピードのロナウドはそのボールをダイレクトで流し込み、GKフアン・ムッソはタイミングを外されてなす術がなかった。

 パスの瞬間までDFに的を絞らせない狡猾なムーブ。エコングの背後を取り、ダイアゴナルにナイティンクから遠い位置にパスを呼び込むランニング。トップスピードでも正確かつGKのタイミングを外すシュートテクニック。熟練されたストライカー、ロナウドの駆け引きと技術が凝縮された一撃だった。

【動画】ロナウドの2019-20シーズンのスーパープレー集はこちら>>
(ウディネーゼ戦のゴールは、1分19秒~1分27秒)

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