レアルの強さの本質を探る。ジダンが体現する「戦術を超えた戦略」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

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<レアル・マドリードの選手は必勝の精神で戦い、敵を打ち破るのみ。敗北はあり得ない。男らしく戦え!>

 ジダンはそのマドリディスモ(マドリード主義)を、無言のうちに伝えることができる。それは「王者の品格」とも言えるかもしれない。勝負において苛烈に戦うが、品を失わない。

 たとえば、セルヒオ・ラモスのプレーは狂気を漂わせ、守りの美学や規律正しさはないが、勝利に向かう剛直さがある。たとえ自らがしくじっても、恐れず前へ踏み出す。セットプレーで借りを返すようにゴールを叩き込み、咆哮を上げる。その狂気を"全軍"に伝えることで、覇気を漲らせる。そこに姑息さはない。堂々と、真っ向勝負で敵を討つ。それが王者の在り方だ。

 かつてのレアル・マドリードは、スローインからのゴールを卑怯なことだとして、よしとしなかった。今ではスローインからのゴールも戦術のひとつだが、その流儀は濃厚に生きている。戦術やシステムの斬新さ、あるいは「パスを何本つなぐか」など、彼らは問わない。レアル・マドリードにふさわしい実力を持った選手が、戦いの中で勝機を見つけ、力強くゴールをこじ開け、相手をねじ伏せられるか――。彼らはそれのみを問う。

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