バルサの危機。MSNへの熱狂の陰で「青とえんじの色」は薄まり続けた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 ジョゼップ・グアルディオラ監督が去って以来、強固だったクラブの理念は軟化していった。

 2010年7月、新会長に就任したサンドロ・ロセイは、4億ユーロ(約480億円)以上と言われた負債返済のため、マーケティング重視の方策を次々に打ち出した。胸スポンサーとしてカタール財団と合意。クラブ史上初めて、ユニフォーム広告を入れる決断を下した(2006年からユニセフのロゴを入れていたが、報酬はなく、むしろ寄付をしていた。ただ、これを導入したのがロセイで、一度ロゴを入れて抵抗を和らげる戦略だったとも言われる)。

「理念を捨てるべきではない!」

 ヨハン・クライフを筆頭に多くの人々が反対したが、ロセイは財政難を理由に押し切った。

 グアルディオラ、フランセスク・ビラノバが指揮をとっていた2012-13シーズンまで、現場は大きな動きは示していない。しかし、クラブは次第にコマーシャル至上主義に戦略を転換。各国のスター選手と契約し、グッズや放映権収入などを目論んだ。

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