南野拓実ら技巧派アタッカーをプレッシング戦術にどう落とし込む? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 古きよき時代のゲームメーカーを思わせる、懐かしい芳香と言ってもいい。GKのミスではなく、こちらをリバプールの敗因としたくなるのは、この種類の技巧こそリバプールにない魅力に見えたからでもある。

 リバプールの攻撃はどちらかと言えば直線的だ。選手のフィジカル的な魅力をシンプルに全面に押し出そうとする、縦に速いサッカーである。

 世の中のサッカーもリバプール的な方向に進んでいる。プレッシングサッカー全盛の時代のなかで、身体能力の高い選手が台頭。技巧的な選手は居場所を奪われる傾向にある。

 技巧的な選手をプレッシングサッカーの中にどう落とし込むか――は、いまに始まった問題ではない。プレッシングサッカーが台頭した頃からつきまとっていた課題だった。

 たとえば1990年代中期のユベントスは、アレッサンドロ・デル・ピエロをどの場所に置くか腐心した。当初のポジションは、プレッシングの定番だった中盤フラット型4-4-2の左サイドハーフだったが、辿り着いた結論はその2トップの一角。「1トップ脇」の方が表現としては近くなる。

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