バルサ、補強に失敗し「偽9番」でやりくり。安部裕葵にもチャンスか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 2得点したファティだけでなく、メッシも、グリーズマンも、ボールプレーヤーであるだけでなく、ゴールセンスが突出している。お互いがポジションなく動くことで、それぞれのよさを引き出し、相手にダメージを与えられる。後方からも選手が駆け上がり、複合的な厚みのある攻撃を生み出し、相手に的を絞らせない。

 セティエンは、"偽9番"で戦う腹を決めたのか――。

「(この冬のマーケットで)バルサは9番(ストライカー)を獲得しないことを決めた」

 1月末、スペインの大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、そんな見出しで状況を説明している。

 エースストライカーのルイス・スアレスは、ケガで今シーズンの復帰が絶望的。9番のバックアッパーはおらず、クラブはロドリゴ(バレンシア)の獲得交渉を進めていた。しかし、6000万ユーロ(約72億円)の移籍金を捻出できなかった。そもそも、そこまでの大金を払うつもりはなかったのである。

 バルサ側は、「下部組織の選手との交換トレード」を考えていた。しかし、この条件での交渉は呆気なく不調に。期限付き移籍で再交渉し、「バルサがスポルティング・リスボンのMFブルーノ・フェルナンデスを獲得し、期限付き移籍でバレンシアに渡し、同じく期限付き移籍でロドリゴを受け取る」というウルトラCまで提案。ロドリゴはサインするためにバルセロナを訪れていたが、ブルーノ・フェルナンデスがマンチェスター・ユナイテッドに移籍したため、話は流れた。

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