久保建英がリーガで起こしたセンセ-ション。
新たな「革命」を起こす予感

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

東京オリンピックで輝け!
最注目のヒーロー&ヒロイン
サッカー 久保建英 編

すでにマジョルカの主力として出場を重ねている久保建英すでにマジョルカの主力として出場を重ねている久保建英「久保はすばらしい才能の持ち主だし、いつか最高の選手になるだろう。だからこそ焦らずに、成長するための猶予を与えながら見守りたい」

 マジョルカのビセンテ・モレーノ監督は当初そう言って、久保建英(18歳)について慎重な見解を語っていた。

 しかしスペイン1部マジョルカで、久保はすでに完全に認められた存在と言える。監督の予測を軽く超えてしまった。そのプレースキルの高さはチーム内でも歴然としており、レギュラーというより主力に近い。

 そして2020年、久保には東京五輪も控えている。自国開催の五輪は特別な響きがある。ひとつの祝祭になるかもしれない。ただ、久保はオリンピックの枠すら飛び出しつつあるのだ。

 久保の2019年はめまぐるしかった。

 2018年まではJ1で力不足を露呈し、「期待の若手」のひとりにすぎなかった。しかし、2019年になると、2月に開幕したJリーグで先発の座をつかむ。そしてゴールデンウィーク前には、首位争いをするFC東京で主力というよりエースになっている。5月には日本代表に選出され、6月には18歳となって世界的なビッグクラブであるレアル・マドリードと契約。代表としてコパ・アメリカに出場した。

 8月には、リーガ・エスパニョーラ1部マジョルカに期限付き移籍。地中海に浮かぶ島で、久保は序盤戦こそ途中出場が多かったものの、出場した試合では必ず爪痕を残してきた。そして9月はアトレティコ・マドリード戦、アラベス戦で先発出場。10月には代表戦から戻ってすぐのレアル・マドリード戦に途中出場し、金星に貢献した。11月に入ると第12節からは4試合連続先発出場。第13節のビジャレアル戦では、PKを誘うドリブルを見せただけでなく、鮮烈なゴールも決めたのだ。

 第14節のレバンテ戦、久保は違いを示している。ボールを引くフェイントで一度に2人を置き去りにするなど、20人のフィールドプレーヤーの中でも出色だった。左サイドをスタートポジションにするも、前線を自由に駆け回って、そのたび優位を作った。同点のシーンも、右サイドで起点になってサイドを崩した。

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