浅野拓磨が体感するセルビアサッカー。「高みを目指さないと潰される」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 Ryokai Yoshiko
  • photo by Reuters/AFLO

 その浅野はセルビアリーグについて、次のように語る。

「ブンデスリーガでやっていた感じと比べると、全体のレベル的には劣ってしまうのかな、と。ただその中でも、身体能力の高さ、フィジカル面、1対1の強さ、何よりもアグレシッブさがある。日本にはない、ひとりひとりが突っ込んでくるぐらいのディフェンスをしてきます。ここで結果を出すのも簡単なことじゃないですし、本当に自分がやるべきことを毎日やりながら高みを目指してやらないと、潰されてしまうんじゃないかというぐらい(のレベル)です」

 ブンデスのレベルではないにせよ、個の能力は高く、迫力もある。ELがなくなったからといって、下を向いているわけにはいかない。

「リーグだけになってしまったから、何のモチベーションもないというわけではなくて、リーグに対しても強い気持ちはあります。そこで結果を残さないと、次がないという危機感もある。そう簡単にやらせてくれないリーグだと感じながらも、そこでやれたらステップアップできるリーグではあると思う。そこに対してのモチベーションはあるので、やれることをやるだけです。しっかり準備して1試合1試合に臨みたいと思います」

 実直な印象は昔から変わらないが、今の浅野には笑顔があり、生き生きとしている。ドイツ時代とだいぶ印象が違う。

「まあ、試合ができているからじゃないですか。『ああ、今日はダメだったな』と思っていても、このチームはすぐ次の試合が来るので、そんなに悩んでいる暇もないですし。試合ができることの楽しさは、このチームに来てまたあらためて感じているので、それが経験できているうちに、しっかり結果を残して、次につなげないといけないな、と思います」

 ドイツでは2016-17シーズン、当時2部だったシュツットガルトでこそ26試合に出場、4得点を挙げたが、その後、舞台を1部に移すとポジション争いに苦しんだ。パルチザンでもデビュー戦ゴール後、苦しい時期が続いたが、その中で自分自身を見つめ直したという。

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