浅野拓磨が体感するセルビアサッカー。
「高みを目指さないと潰される」
欧州で4シーズン目を迎えた浅野拓磨は今季、これまでプレーしていたドイツを離れ、セルビアのパルチザン・ベオグラードでプレーしている。
ヨーロッパリーグのAZ戦でゴールを決めた浅野拓磨(パルチザン) 昨季終盤、レンタル元であるアーセナルが、レンタル先のハノーファーが浅野を買い取らないことに怒りを表明したと、イギリスの各紙が報道した。2部落ちが確実だったハノーファーには買い取りオプションを行使する気はなく、浅野の試合出場数が、買い取りが義務になる数に達する前に手を打った。浅野をそれ以上、試合に出さないことにしたのだ。
八方ふさがりの状況に置かれたわけだが、当時、同僚だった原口元気は「あいつはひとりで走りこんだりしていますよ。選手として次に向けて切り替えるしかないから」と、あっさり語っていた。25歳の浅野にとって、そこで選手生命が終わるわけではない。次に向けて早めに準備をするだけのことだった。本人には悔しい気持ちもあっただろうが、取材でそんな様子を見せることもなかった。
ハノーファーに残ることもアーセナルに戻ることもできなくなった浅野は、この夏、日本でいつもより長くトレーニングを行なった。香川真司の自主トレに参加したこともあった。香川は「どうしても一緒にやりたいって言うので」と笑ったが、案外、本音だったのではないだろうか。
パルチザンで入団会見を行なったのは8月3日。すでにセルビアリーグは開幕しており、その翌日にはパルチザンは第3節を迎えるというタイミングだった。すでにスタートしているチームに合流するのは難しいものだが、8日のヨーロッパリーグ(EL)予選3回戦では初出場初ゴールを挙げ、存在をアピールした。
だが、その後は得点から遠ざかる。現在のところリーグ戦では2ゴール。ELのAZ(オランダ)戦で挙げた1ゴールの合計4得点である。そのEL第5節AZ戦、パルチザンは2-2で引き分け、グループステージ敗退が決まった。浅野は言う。
「ELがあるというのも、このチームでプレーするモチベーションになっていたので、それがなくなるのは残念ですけど、残された試合を頑張るしかない」
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