35歳になるロナウドは、古ければ古いほどよくなるポルトワインのよう (3ページ目)

  • ジョゼ・カルロス・フレイタス●文 text by Jose Carlos Freitas
  • 竹澤 哲●翻訳 translation by Takezawa Satoshi

 お互いに十分な信頼関係を築いていると誰もが考えていたのに、ケイロス監督時代の2年間、ロナウドの成績はさんざんだった。18試合に出場し、得点はわずかに2点だけである。

 しかし、2010年10月にパウロ・ベントが監督に就任すると、事態は快方に向かうことになる。

 ロナウドとの関係性において、ケイロスとパウロ・ベントには大きな違いがあった。ケイロスは彼をキャプテンに任命し、得点を決めなければいけないと、責任を負わせるコメントを繰り返した。当時、チームを構成していたのはほとんどが彼よりも年上で、経験豊富な選手たちだった。未熟だったロナウドに与えた重圧は大きく、得点が決まらない試合が続くにつれ、監督とロナウドの関係は悪化していったのだ。

 しかしパウロ・ベントは、ロナウドをキャプテンに選びながらも、得点に対する責任は選手全員に負わせるようにした。すると、彼はゴールゲッターへと変わっていくことになる。それは偶然の産物ではなかったのだ。パウロ・ベントの存在があったからこそ、ロナウドはエウゼビオの代表41得点を超え、さらにパウレタの持つ歴代最多得点の47得点も超えて、ポルトガル歴代最多得点者となることができたのだ。

 後任者となったフェルナンド・サントス監督は就任1日目から、はっきりとした哲学でチームを指揮した。監督はロナウドがポルトガル代表において最も重要な選手であることを認めながらも、ひとりでは勝利できないことも説いた。やがてポルトガルは、ピッチ上に彼がいてもいなくても勝つことができるようになった。監督の哲学が成果となって表われたのが、ユーロ2016決勝だった。フランスを相手に、ポルトガルはロナウドなしで勝利することができたのだ。

 フェルナンド・サントス監督の指揮下において、ポルトガル代表は71試合を戦い、得点数は141点。ロナウドはそのうち53試合に出場し、49得点を決めている。つまり1試合平均ほぼ1得点を決めていることになる。

 代表での世界最多得点記録はイラン代表のアリ・ダエイが持つ109得点だが、このまま行けばロナウドが近い将来に記録を破るだろう。彼にとって5度目となるユーロ2020年大会でそれを達成するかもしれない。

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