オランダ代表が完全復活!暗黒時代を経て黄金期の再現を狙う (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images


 一方で、弱点もある。それは、攻撃から守備の切り替え時に、オランダは相手に大きなスペースを与えてしまうのだ。また、北アイルランドと0−0で引き分けた試合のように、相手に引かれてボールを持たされると、攻撃に手詰まり感が生じてしまう。デンゼル・ダンフリース(PSV)が調子を落として以降、右サイドバックに不安を抱える。

 ただ、そんなマイナスポイントを鑑みても、オランダ人は2020年ユーロでの躍進を夢見ている。1982年ワールドカップ、1984年ユーロ、1986年ワールドカップ出場を逃し、「暗黒の80年代」という苦しい時期を経て、突如オランダは1988年ユーロで優勝を果たして長いトンネルを抜け出した。

 1988年ユーロで主力だったロナルド・クーマンが、今度は監督として2020年ユーロでオランダを頂点に導いてくれるのではないか――。そんなこじつけ混じりの期待を寄せた記事がオランダメディアに踊っている。

 今のオランダ代表には底知れぬポテンシャルがあり、国民は彼らの伸びしろを見越して胸を膨らませている。その背景には、U−21オランダ代表の陣容が充実しており、まるでオランダ代表のリザーブチームのように機能し始めたことが挙げられよう。

 現在のU−21オランダ代表の立ち上がりは、5月31日に行なわれたメキシコとの親善試合だった。オランダはジャスティン・クライファート(ローマ/20歳)、ドニエル・マレン(PSV/20歳)、カルビン・ステングス(AZアルクマール/20歳)の3トップが大爆発し、5−2で強敵を難なく破った。

 しかしこの魅惑の3トップは、マレンが9月の国際マッチウィークでオランダ代表に昇格したことによって解散した。マレンはドイツ戦で途中出場すると、いきなりA代表デビューゴールを決めて4−2の勝利に貢献した。

 U−21オランダ代表は9月、ノア・ラン(アヤックス/20歳)、カイ・シールハウス(フローニンゲン/21歳)、ステングスの3トップでキプロスを5−1で破った。さらに10月に入ると、U−21オランダ代表はクライファート、ステングス、マイロン・ボアドゥ(AZ/18歳)による「新・魅惑の3トップ」にバージョンアップして、ポルトガルを4−2、ノルウェーを4−0と大量ゴールを重ねながら勝ち続けた。

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