オランダ代表が完全復活!
暗黒時代を経て黄金期の再現を狙う

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 サッカー大国オランダは2016年ユーロ、2018年ワールドカップの出場を逃し、「ヨーロッパサッカー界の笑い者」と自らをさげすんでいた。そして人々は、スタジアムやテレビ観戦から遠ざかってしまった。オランダ代表とオランダ国民の間で結ばれていた永遠の愛は、幻だったのかもしれない。

A代表デビューを果たした20歳のステングス(左)と18歳のボアドゥ(右)A代表デビューを果たした20歳のステングス(左)と18歳のボアドゥ(右) しかし、両者は復縁を果たした。11月16日、オランダは敵地ベルファストで北アイルランドと引き分け(0−0)、2020年のユーロ出場を決めた。

 その3日後に行なわれたユーロ予選最終戦のエストニア戦は、6年ぶりのビッグイベント出場を祝う凱旋試合となった。キックオフ間際になってもスタジアムに向かうクルマが微動だにしないほど、人々はヨハン・クライフ・アレナに詰めかけた。

 それでもファンに焦りのようなものはなく、クラクションは響かなかった。自動車道の上にUFOが乗っかったような形状のヨハン・クライフ・アレナを仰ぎ見ながら、彼らは感慨にふけっていたのかもしれない。

 私は途中でクルマを乗り捨て、バスの車窓から渋滞を眺めていた。冷たい夜に浮かぶヘッドライトが幻想的で、まるで聖地巡礼のような、神々しく美しい渋滞だった。オランダはエストニアを力でねじ伏せ、5−0で勝った。

 この2年間、フランス、ドイツ、イングランドといった強豪国を公式戦(ネーションズリーグ&ユーロ予選)で負かしてきたオランダの復調は、守備から攻撃への切り替えの速さと、その質の高さによるものが大きい。

『ビッグ4[アリエン・ロッベン、ロビン・ファン・ペルシ、ヴェスレイ・スナイデル、ラファエル・ファン・デル・ファールト]+ディルク・カイト』から『ニュービッグ4[フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(リバプール)、メンフィス・デパイ(リヨン)]+マタイス・デ・リフト(ユベントス)』へと変化した新旧世代交代も、成功の要因として見逃せないだろう。

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