2019.11.13

久保建英の「チームを牽引する」
資質が花開いた。「先頭に立つ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 リーガ・エスパニョーラ第13節、久保建英(マジョルカ)はトピックスになった。1点目となったPKを奪うドリブルは巧みで力強く、2点目もフリックプレーで攻撃を旋回させ、3点目は自ら左足で鮮やかにミドルシュートを打ち込んでいる。3-1でビジャレアルを下す主役となり、18歳でリーガ初ゴールも決めた。

ビジャレアル戦で待望のリーガ初ゴールを決めた久保建英(マジョルカ) 久保のプレーに、スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は4段階(0から3)で最高の三つ星をつけた。地元紙の『ディアリオ・デ・マジョルカ』も、「久保が必要としていた試合だった」と打電。この一戦で、「レアル・マドリードから来た助っ人」の価値を示したことを伝えている。称賛の嵐だった。

 しかし、久保自身はスペインサッカーの”日和見”を誰よりも心得ているだろう。

「久保は先発の機会を生かせず!」

 ビジャレアル戦の前節に行なわれたバジャドリード戦後、『ディアリオ・デ・マジョルカ』は久保に厳しい評価を下していた。この試合も久保は先発していたが、チームは完敗。他のスポーツ紙も、「久保が先発を与えられていなかった理由」と酷評するなど、容赦なかった。この不振が続けば、「メディアスター」というレッテルを貼っていたかもしれない。

 スペインという国は、サッカー報道に関して刹那的で、とくに外国人有力選手に対しては、結果の猶予を与えない。同じタイミングで、レアル・マドリードに残ったブラジル人アタッカー、ロドリゴ・ゴエスがハットトリックを記録するなど著しい台頭を見せると、久保と比較。目に見える成果を求めていた。

 筆者が取材した第10節のレガネス戦後も、地元記者は「交代出場したが、違いを見せられなかった」という意見だった。実際、ゴールにつながるプレーはできなかったものの、ボールを持って仕掛ける動きは、腰が引けたチームの中で際立っていた。しかし、結果を残せない選手には辛辣なのだ。

 もっとも、久保自身は外野の声に一切、左右されていない。レガネス戦も、彼は途中出場すると、”無理してもプレーを動かそう”と牙をむいていた。勝利に向けた覚悟が伝わった。