2019.11.14

「倒れないファンタジスタ」
オヤルサバルが新生スペイン代表を牽引

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 今年10月、スペイン代表がユーロ2020本大会出場を決めた。

 かつて、スペインはシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタという2人の「ボールの魔術師」を擁し、世界を席巻した。ほかにも、GKにイケル・カシージャス、DFにカルレス・プジョル、ジェラール・ピケ、カルロス・マルチェナ、ジョルディ・アルバ、MFにマルコス・セナ、シャビ・アロンソ、ダビド・シルバ、セスク・ファブレガス、そしてFWにダビド・ビジャ、フェルナンド・トーレス……。ユーロを連覇(2008年、2012年)したメンバーには、相応の豪華さがあった。

 しかし、いずれもすでにスパイクを脱ぐか、代表引退を表明している。はたして、時代を継ぐ新鋭選手は育っているのか?

ユーロ2020出場を決めたスペイン代表の主力、ミケル・オヤルサバル 10月のサンセバスチャン。レアル・ソシエダのエースとして、背番号10をつけたミケル・オヤルサバル(22歳)が躍動していた。

 オヤルサバルは2016年5月、19歳で代表デビューを飾っている。ロシアワールドカップ後に発足したスペイン代表では、すでに主力のひとりだ。ユーロ出場を決めたスウェーデン戦でも2トップの一角として先発してフル出場。チームを牽引している。

「LUCHADOR」

 現地では、そう評される。「闘士、努力家」。それは戦いを挑む者を意味するが、勤勉なことだけがキャラクターではない。

 オヤルサバルは左利きで、ひらめきを感じさせるプレーヤーと言える。スモールスペースでのコンビネーションに優れ、ダイレクトで局面を変えるパスも繰り出せるし、自らドリブルで切り込むスキルも持っている。あり余る才能を持ちながらも、勤勉に走ってスペースを作り、勇敢に体をぶつける。その落差が、人々の尊敬を集めるのだ。

 そして戦術的に、際立って優れている。

 この日、ベティスに3-1で勝利した試合でも、1点目は相手を誘い込むボールキープから敵ゴール近くでFKを取り、それが得点につながった。2点目は右からのクロスに対し、左サイドから対角線でニアに走りこみ、背後のスペースを作り、ウィリアン・ジョゼのゴールを”アシスト”した。そして3点目は、マルティン・ウーデゴールと呼吸を合わせ、エリア内深くに走って深みを作り、ゴールに背を向けてボールを落とし、ポルトゥのだめ押し点を演出した。