バルサ、レアルがもたつき空前の大混戦に。戦国リーガの下剋上候補 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「個人的にはポルトゥに注目している。チームにダイナミズムを与えている」

 レアル・ソシエダで20年近く要職を務めてきたミケル・エチャリは、ポルトゥの"馬力"を称賛した。走って戦える。その屈強なプレーが、若くうまい選手が多いなかで攻守の強度を与えているという。

 イマノル・アルグアシル監督の采配も冴える。ベンチにベルギー代表アドナン・ヤヌザイ、スウェーデン代表アレクサンダー・イサクを置き、ジョーカーにしている。選手層が厚くなったことで、波が少なくなったのだ。

 そのレアル・ソシエダに敗れて3位から6位に順位を下げたグラナダも、開幕から健闘している。2部からの昇格組だけに、序盤戦のサプライズ。その殊勲は、ディエゴ・マルティネス監督によるものか。

 38歳になるマルティネス監督は、セビージャのスカウト部門で指導者としての道をスタート。ユース監督、セビージャC(サードチーム)を率いたあと、アトレティコ・セビージャ(セカンドチーム)を降格から救い、翌シーズンは2部へ昇格させたことで、その手腕が評判になった。そして2018-19シーズンは2部グラナダを指揮し、2位で1部昇格。若手監督では、最も注目されるひとりだろう。

 地元では、「スペインのレスター・シティに!」という声も上がっており、結果はフロックではない。ただ、戦力的には限りがある。当面は残留が目標だ。

 もうひとつ躍進が期待されるチームが、ビジャレアルだろう。人口5万人の小さな町のクラブだが、下部組織が充実。今シーズン、頭角を現し、「今後スペイン代表の左利きセンターバックは安泰」とも言われるパウ・トーレスも下部組織出身だ。

 要所に好選手をそろえ、戦力は高い。GKセルヒオ・アセンホ、CBラウール・アルビオル、マリオ・ガスパール、左SBアルベルト・モレノ、MFブルーノは、いずれもスペイン代表歴を持つ。トップにもカメルーン代表トコ・エカンビ、コロンビア代表カルロス・バッカを擁し、現在リーガ最多得点を記録。新たにスペイン代表に選出されたジェラール・モレーノもいる。

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