苦悩する武藤嘉紀。監督の去就次第では、冬に移籍の可能性も (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 ただ今季に関しては(リーグカップでゴールを決めて)結果も出した。だけど、何も変わらない。やっと回ってきたチャンスのレスター戦(9月29日)では犠牲になった(※チームメイトが前半に退場となって武藤が交代)。

 悲観的になってはいけないけど、サッカー選手というのは、試合に出ていなかったら絶対にハッピーじゃないし。もし冬に残って、また半年間出られなかったら、それこそ本当に無駄な時間を過ごすというか......」

 英国人のブルース監督は、とてもじゃないが優れた策士とは言えない。チームに細かい戦術を落とし込んでいるようには見えず、むしろ「戦う姿勢」や「ハート」を全面に押し出すタイプの指揮だ。自陣で守備を固め、ロングボールやロングカウンターの"一発"に活路を見出すしか策がない。

 その点で言うと、武藤がマインツで指導を受けたマルティン・シュミットやサンドロ・シュヴァルツといった戦術家たちとは対極にある。武藤が置かれている状況から言えば、自身を正しく評価し、特性を生かしてくれる場所に移ったほうがよいかもしれない。

 ただ、武藤にとって難しいのは、ブルース監督の去就が定かではないこと。チームは2勝3分5敗の17位に沈んでおり、監督が交代するシナリオもあり得る。武藤も「それもわからないから(決断は)難しい」と話していた。

 果たして、武藤は冬の市場でどんな決断を下すか──。27歳FWの動向に注目したい。

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