久保建英にいま必要なこと。レアル戦では「焦り」が見え隠れした

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 10月19日(現地時間)に行なわれたスペインリーグ第9節。マジョルカは開始7分、ラゴ・ジュニアが決めたゴールを守り抜き「金星」をゲットした。レアル・マドリードに今季初黒星をつけたのは、久保建英所属のマジョルカだった。

 ホーム「ソンモッシュ」でレアル・マドリードと戦うことは、クラブにとってバルセロナ戦とともにシーズン最大のイベントだ。そこで勝利を飾ることはマジョルカにとって考えられる限り最高の結果になる。ところが試合後、久保の表情に笑顔はなかったように見えた。

 久保にとってはレンタル元との対戦だ。自分自身の実力をアピールするこれ以上の機会はなかった。欧州のクラブには昔から、対戦相手の活躍選手を獲得する傾向がある。こちらを困らせた選手なら十分やっていけるだろうと判断するからだ。久保がこの一戦で活躍すれば、レアル・マドリード復帰への道は早まる可能性があった。対レアル・マドリード戦はマジョルカとしてのみならず、久保個人にとっても大きな一番だった。

レアル・マドリード戦に後半14分から出場した久保建英(マジョルカ)レアル・マドリード戦に後半14分から出場した久保建英(マジョルカ) ところがそのスタメンに久保の名前はなかった。出場は後半14分からだった。

 考えられる理由は、チームを長く離れていたことだ。10月6日のエスパニョール戦(第8節)終了後、久保はマジョルカ島から日本に帰国。日本代表に合流した。だが10日に行なわれたモンゴル戦(埼玉)はベンチ要員で、出場したのは15日にアウェーでな行なわれたタジキスタン戦の後半42分からだった。その試合、後半のアディショナルタイムは3分あったので、出場時間は6分ということになるが、そのわずか6分のために、久保は2万数千キロの大移動を強いられることになった。

 マジョルカは、代表級の選手がほとんどいないチームだ。十数時間、飛行機に乗って帰国し、さらにそこからまた何時間もかけて移動して試合に臨もうとする選手はゼロだ。久保がタジキスタン戦の翌日、16日にマジョルカ島に戻ることができたとしても、それは試合の3日前に当たる。中2日で、クラブにとっての今季一番の目玉の試合に臨むことになる。

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