イブラヒモビッチが貫く俺様道。「王のように来て、伝説として去る」
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スポルティーバ・新旧サッカースター列伝 第7回
「異端児」扱いされながらも、溢れる才能を見せてファンにものすごく愛されてきたサッカースターたちがいる。前回のカントナに続き、今回もあの「破格」のプレーヤーを紹介。
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「オーディションは受けない」
マルメのユースチームでプレーしていたころ、アーセナルから「トライアルを受けてみないか」と誘いがあった。
マルメはスウェーデンの名門クラブだが、アーセナルとなれば格もサラリーも違う、飛躍の大きなチャンスである。ところが、17歳のズラタン・イブラヒモビッチは「オーディションは受けない」と、誘いを一蹴してしまった。
現在はアメリカのLAギャラクシーのエースとして活躍するイブラヒモビッチ「俺のことを知りたいということは、本当に俺を欲しがっているわけではないからね」
後にそう説明している。そう言われればもっともな感じもするが、10代でこの自尊心の高さは、いったいどうしたことなのかとも思ってしまう。
ボスニアから来た男とクロアチアから来た女がスウェーデンで出会い、そこでズラタン・イブラヒモビッチは産まれた。スウェーデン人だがスウェーデン人の血は入っていない。
「人はそうであるように生まれてくる」
俺は俺だ――イブラヒモビッチの生きていくうえでの軸といっていい。
「人と違っていても、可能性が最少に思えても、何とかなるぜ。俺が証明している」
貧しい少年時代を過ごした。疎外感の中で、人は誰でもひとりだという事実に早く気がつく。競争に勝たなければ尊重されないということも。プロになってから行く先々でことごとくタイトルを獲っていった。
「俺のエゴはエッフェル塔みたいにデカイと言われる。反論はしないが、チームが勝ちとったトロフィーが真実を語っているんじゃないかな」
エリック・カントナが「カントナ」を演じ続けたように、ズラタン・イブラヒモビッチも「ズラタン」であることに強い執着があるようだが、意外とバランス感覚も持っている。
「俺はバカなことをしてきたし、ミスもたくさんやってきたが、すべてから学んできた。今でもミスはするが、まだ学び続けている。誰も完璧じゃない」
その一方で、「自分の完璧さに笑いが止まらない」とも言う。ただ、後者はアスリートとしての自分に対してだ。速くて強く、巧くて賢い。たしかにズラタンはプレーヤーとしてすべてを持っている。
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