「スター誕生」。欧州王者を苦しめたザルツブルクに南野拓実あり (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 また、力強いプレーも目を引いた。リバプールのジョーダン・ヘンダーソンに何度も腕を引っ張られながら、ドリブルで右サイドを40メートル近く駆け上がったり、中盤で3人に囲まれながらも必死にボールをキープしたりと、高いインテンシティが自慢のリバプールを相手に堂々と渡り合った。冒頭で登場した英BBC放送が「南野拓実、スター誕生か」と伝えたのは、ちょうどその直後のことだ。

 試合後、ミックスゾーンでオーストリア・メディアの取材に応じたリバプールのフィルジル・ファン・ダイクは、ザルツブルクについて次のように語った。

「ザルツブルクを過小評価していたわけではなく、試合前、我々は長い時間をかけて彼らを分析していた。すごくいいチームだ。ハーフタイム後、後半20分ぐらいまで非常に苦しい戦いを強いられた。個々の能力が高いチーム。チームとしてのクオリティも高い。だから、ザルツブルクの後半のパフォーマンスにも驚きはなかった」

 1994−1995シーズン以来、2度目となるチャンピオンズリーグ本戦出場を果たしたザルツブルク。3−4で敗れはしたが、難攻不落のアンフィールドで3点差から一度は同点に追いついた踏ん張りを、英メディアも高く評価している。

 その中心に南野がいた。「海外移籍してほぼ5年。今自分が成長しているかどうか試す最高の舞台がある事が嬉しい。でももっと成長したい」と、試合後に南野はツイッターで記した。

 リバプールの壁は高かった。しかし、南野がイングランドで特大のインパクトを残したことも、また事実である。

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