リーガ首位ビルバオの強さの秘密。「足りないことが武器になる」

  • 小宮良之●文章 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 2019-20シーズン、リーガ・エスパニョーラは5節が終了。首位に立っているのは、リオネル・メッシを擁する王者バルセロナでも、ジネディーヌ・ジダン監督が率いるレアル・マドリードでもない。150億円以上の移籍金でポルトガル代表FWジョアン・フェリックスが加わったアトレティコ・マドリードでもなかった。

 古豪アスレティック・ビルバオが、先頭を走る。開幕戦、バルサを終了間際のゴールで破ったことが、スタートダッシュを加速させた。ここまで3勝2分け、無敗だ。

前節はアラベスに2-0で完勝、首位に立つビルバオ前節はアラベスに2-0で完勝、首位に立つビルバオ<純血主義>

 ビルバオは100年を超える歴史のなかで、バスク人選手(もしくはバスクで生まれ育った選手)のみのメンバー構成で戦ってきた。当然だが、補強は限られる。ここ1、2年だけでも、GKケパ・アリサバラガ(現チェルシー)、DFエメリク・ラポルト(現マンチェスター・シティ)がビッグクラブへ移籍する一方、(金銭的には潤っても)代わりの選手を簡単には手に入れられない。

 しかし、彼らはその状況を逆手に取った。

「アスレティックの場合、バスク人しかいない。限定されることが、むしろ力になる」

 アスレティックを率いるガイスカ・ガリターノ監督は、そう力説している。ガリターノは昨シーズン、一時は18位に沈んでいたチームを率い、8位まで引き上げた。今シーズンはウナイ・ロペスなど下部組織のレサマで育った選手を呼び戻し、飛躍につなげている。

「外国人選手はいないし、(バスク人を除いた)スペイン人選手もいない。バスク人選手だけで戦うしかないから、腹が決まっている。だから選手たちは、誇りを持って戦える。バスク人として、自分たちのチームを守るために戦う、という目標がはっきりしている。"足りないこと"がむしろ武器になっているんだ」

 少数精鋭。その高潔さと不屈さが、彼らの強さの源だ。

 今シーズンは、とにかく堅牢な守備を見せる。失点は少なく、5試合でわずか1(2位のレアル・マドリードは6失点)。ジェライ・アルバレス、イニゴ・マルティネス、ウナイ・ヌニェスの3人のセンターバックは堅牢さを誇り、いずれもスペイン代表レベルだ。

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