雑念消えたレバンドフスキが改心。今季最大の「補強」も効き絶好調だ (3ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

 このスタイルの浸透を支えているのは、今年の7月からバイエルンにアシスタントコーチとしてやってきたハンジ・フリックだ。現役時代は、バイエルンで過ごした5年間で4度のリーグ優勝を経験。指導者としては、ドイツ代表でヨアヒム・レーヴ監督の"右腕"として2006年から2014年まで、チームの成功を支え続けてきた。

 その後は、ドイツサッカー連盟やホッフェンハイムでスポーツディレクターを務めた後、マンチェスター・シティで研修を終え、バイエルンに合流した。現在チームでベテランとして存在感を発揮する主将のマヌエル・ノイアー、トーマス・ミュラー、そしてジェローム・ボアテングらとは、2014年ブラジルW杯で世界王者までの苦楽を共にしたこともあり、つながりが強い。

 ピッチ上ではボールポゼッションを重視する戦術を浸透させ、ピッチ外ではロッカールームのバランスを保つという点で、フリックコーチの招聘は今季最大の"補強"とも言える。今季、レバンドフスキがシュートを打つシーンが昨季に比べて大きく増えているのも、バイエルンがそれだけ多くの好機を作り出しているからだ。

 さらにレバンドフスキ本人の、チームの副主将というリーダー格としての自覚も、エゴイスティックな面を抑制する点で役立っている。第5節のケルン戦では、PKのキッカーを新加入のコウチーニョに譲る余裕も持てるほど、チーム全体を見渡せるようになった。「昨季、自分が目立って輝くよりも、チームのために働くことのほうが重要なんだ、と理解したのさ」とレバンドフスキは振り返る。

 現在はバイエルンのU-17のチームで監督を務める、元ドイツ代表ストライカーのミロスラフ・クローゼは、レバンドフスキを「限りなくパーフェクトに近いFW」だと評価する。ボールをキープすることもでき、自分でドリブルしながら相手DFをかわして得点することも、ペナルティーエリア内でクロスに合わせて得点することも、そしてエリア外からはミドルシュートやフリーキックでも得点できるストライカー。

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